3年前と変わったこと、変わらないこと

「以前は、製麺所の麺を愛用していました。これからは和彦が打つ、自家製麺を使います」

次男の和彦さんは、両親が〈毎日が日曜日〉の3年間、よそのラーメン屋で修業を積み、麺の製法を習得した。

「共楽」は、親父さんの父、太一郎さんが昭和31年に、この地で創業した。その後、親父さんが受け継いだ。そして、令和になった今年、和彦さんが、3代目として継承しようとしている。

客の中には、「3年休んだせいで味が変わった」と指摘する人がいるかもしれない。3年のブランクがあったのではなく、和彦さんが製麺の技を3年研さんしたことで、麺の味がアップデートした。……そう考えるべきではないか。

「共楽」といえば、「ワンタンメン」(1000円)。四角いワンタンが特徴だった。「ワンタンの皮も自家製にしました」と和彦さんは胸を張る。

以前は、ワンタンの皮も製麺所からひいていた。自家製に切り替えたことで、麺同様、進化している。以前は歯ごたえのない、それこそ雲を呑むような食感だった。和彦さんが作る皮は、もっちりとした歯ごたえもある。

「竹の子そば」(950円)、「ワンタン」(800円)、「大盛り」(50円増し)などのメニューも、昔のまま。

親父さんが守ってきた味と、3代目が加わった新しい共楽が、どう融合するのか。「共楽」ファンとしては、これからも末永く見守っていきたい。

 

【中華そば 共楽】
住所/東京都中央区銀座2-10-12
電03-3541-7686
営業/11時〜20時
無休
*価格はすべて税込

東京五輪開催前の3歳の時、亀戸天神の側にあった田久保精肉店のコロッケと出会い、食に目覚める。以来コロッケの買い食いに明け暮れる人生を謳歌。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』、『自家菜園のあるレストラン』、『一流シェフの味を10分で作る! 男の料理』などの他、『笠原将弘のおやつまみ』の企画・構成を担当。