“しつけ”という言葉の意味

“しつけ”は漢字で“躾”と書きます。身体を美しく見せる、つまり人に不快感を与えない身のこなしです。これは服や髪形だけでなく、言葉遣い、態度も含まれます。

また“裁縫”するとき「仕付け=仮縫い」をしてあらかじめ目安になるような縫い取りをすることも“しつけ”といいます。

人として人間社会、集団の中で生きていく上での規律やマナーを学んでいくことが“躾”という漢字にも“しつけ”という言葉にも表れているのかもしれません。

古新聞は破いてもいいけれども絵本はダメ、家にある自分の絵本はクレヨンで何か書いてもいいけれど、兄弟姉妹で共用している場合や図書館で借りてきた絵本に落書きをしてはならないことは、子どもは知らないまま生まれてきます。決められた登園時刻を守るなども含まれます。

なぜ「叩いたり、怒鳴らないと言うことを聞かない」子になるのか

「子どもを躾ける」と称して足やお尻をペーンと叩いたり、大声で怒鳴っている人をたまに見かけます。でも、なぜ、叩いたり怒鳴らないと言うことを聞かない子に育ってしまったのでしょうか。

それは、途中から躾をしたのが原因なのです。

けれども、0歳後半になって歩き始めたとき次のような対応をすると、まだ言葉をしゃべることができない赤ちゃんだってわかります。

・絵本を破ったときさっと取り上げて「「絵本は読むものだから破らないでね」と絵本を取り上げる。

・テーブルの上に足を乗せたとき「テーブルはご飯を乗せるところ、食事をするところだから足を下ろそうね」とテーブルから引きずり降ろす。

こんな体験をしているうちに「ああ、絵本は破ってはいけないんだ」「テーブルは乗ってはならないんだ」と身体で覚えていきます。そして、次第にやらなくなります。

ところが、「赤ちゃんだから絵本を破ってもOK」「赤ちゃんだからどこに乗ってもOK」としていると、やって良いこと、悪いことの区別がつかなくなります。

でも、親は子どもが3歳、4歳になってくると人目もありそれを許しているわけにはいかなくなります。そうなると急に態度を豹変させて「もう、3歳になったんだから図書館の絵本に落書きしてはなりません!破いてはいけません!テーブルに乗ってはいけません!」と口で伝えます。

けれども、子どもにしてみれば、今まで許されていたことを突然ダメだと言われても、なかなかすんなりと「はい、わかりました。今日からそうします」とはならないわけです。すると、親は大声をあげたり時には叩いたりして躾ける手段を取らざるを得なくなります。

こうして「こら!ダメ!いい加減にしなさい!」と怒鳴らないと言うことを聞かない子に育っていくのです。それでも、とりあえず子どもは怖いから、痛いからの理由で言うことを聞きはしますが親が見ていないところでやったりします。これで躾ができたと思うのは大人の錯覚なのです。