フジテレビ系日曜9時の『家族のうた』が、3日放送の第8話で最終回を迎える。局も認めているように、正真正銘の打ち切りだ。

『家族のうた』の視聴率は、初回が6.1%のあと、3.6%、3.4%、3.1%、3.3%、3.8%と、5話続けて3%台を記録した(ビデオリサーチ調べ・関東地区)。テレビ東京を除く民放のゴールデン・プライムタイムでは、2008年1~3月期に放送されたテレ朝系『4姉妹探偵団』の第4話が3.5%だったが、おそらくそれ以来の3%台だったと思う。しかも、5話続けてというのは前代未聞(第7話は4.1%)。これはさすがに打ち切りもやむを得ないかもしれない。

歴代打ち切りドラマ、あえて今見たいのはどれ?

内容としては、決して打ち切りが妥当というものではなかったと思う。正義(オダギリジョー)の子供たちに対する接し方には一貫性があったし、主人公の成長物語ではあるけど、わざと最初に正義をひどく描いておくというような安い作りでもなかった。結局、中学2年のこころ(杉咲花)は正義の子供ではなく、血の繋がった子供は小学6年生の美月(大森絢音)だけ。でも、自分の子供かどうかという部分は、正義にとってたいして大きな問題ではなく、3人の子供を区別することはなかった。そもそも、本当に自分の子供かどうかを確かめようとする発想すらないところは正義らしかったと思う。だから、こころが自分の子供ではないと分かったあとも、自然と体が動いてこころのもとへ向かった正義の行動などにも説得力が出たし、かなり泣けるエピソードだった。

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こころと一緒に家に転がり込んだ秀蔵(藤竜也)も、結局、正義の父親ではなかった。ストーリーとしては、最初から正義は秀蔵のことを他人だと思っているので当然なのだが、秀蔵のことも正義にとって血のつながりがあるかないかは関係なかった。つまり、当初はパクったと問題になった『パパはニュースキャスター』とは、まったく違う家族を描いていたわけで、類似性の問題はなかったと思う。

ただ、普段のわがままでロックな正義のキャラクターが魅力的だったかというと、かなり厳しいものはあった。やっぱり、実力はあるけど売れないロックミュージシャンという設定が難しかったような気がする。まあ、初回で6.1%しか取れないということは、内容以外の部分に問題があったと考えるべきなんだろうな。初回から見る人が少ないと、たとえ内容が良くても、それが口コミで広まることは難しい。今はTwitterであっという間に広まるので、ちょっと面白いというウワサが流れれば、『家政婦のミタ』のような驚異的な数字を記録することも可能になる。でも、一度無視されたら誰も見ないのが今のテレビなのだ。

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