指示するなら「してはダメ」ではなく「していいよ」が基本

――身近なお兄さんやお姉さんをお手本として示すのもいいですね。

飯山:いいと思います。だから兄弟の場合は、下の子は上の子にくっついていくわけです。

下の子はほっといても育つというのはそういうところですね。早くお兄さんに追いつきたいと同じことをします。もっと成長したいっていう気持ちがあるんですね。

だから、「できるよ」っていう気持ちを伝えてあげたいですね。「危ないからダメだよ」「これはうまくいかないからダメだよ」ということではなくて。

やらないでほしいことではなくて、やってほしいことを伝えていくことは大事ですね。

――小さい子は特にそうですよね。

飯山:「ダメだって言ったでしょ」と言ったところで、ダメっていうのは指示ではないですから。こうしてほしい、そうなってほしいという行動を言わないと。

叱った後は、ママも切り替えることが大事

――叱って子どもがへこんじゃった時の立ち直らせ方についても教えてください。

飯山:たとえば子どもが誰かを叩いたりして、叱ったらへこんでしまって何もしない。「ごはんだよ」って言ってもいじけているような状況なら、基本はあれこれ言わずに、放っておけばいいんです。

自分がへこんで、黙っていれば誰かが何かしてくれるというのは甘えです。これは引きこもりの子に対してのやり方と同じなんですが、「ごはん食べたくない、いらない」と言うなら、「わかった、いらないんだね。じゃあお母さん食べるね」と言って、先に食べ始めてしまいます。

「あ、これおいしいな」なんて話しながら子どもをチラチラ見るのではなく、楽しそうに食べていれば、しばらくして「……僕も」って戻ってきますよ。

――普段通りに、ということですね。

飯山:目の前のごはんを楽しんで食べていればいいわけです。楽しい雰囲気を作っていれば、子どもはそこに行きたくなるものですから。

――「お母さんはもう怒ってないんだ」っていうこともわかりますね。

飯山:それでちょこちょこっと近づいてきたりしますよね。そうしたらパッと見て、「食べる?」って。もう叱ったことはいいんです。その話はもう終わってるから。普通に受け入れてあげればいいんです。

子どもは素直です。楽しい、やってみたいと思うことにはすごく前向きになれます。そのエネルギーをうまく活かしてあげられればいいと思いますね。

まとめ

飯山さんの著書『いまどきの子を「本気」に変えるメンタルトレーニング』、前著『いまどきの子のやる気に火をつけるメンタルトレーニング』(ともに秀和システム刊)では名門高校野球チームの選手たちとの具体的なやりとりを例にとり、メンタルトレーニングの方法が解説されています。

人は、「信頼されている」と思えば前向きに頑張れるもの。高校生でも、幼稚園児でもそれは同じです。子どものやる気を促す言葉がけを上手に取り入れて、子どもが委縮することなくのびのび育つ環境を作ってあげたいですね。

ライター。業界紙、エンタメ系雑誌記者を経て、現在フリーランス。日々の暮らしに「へぇ〜」のアクセントを提供したいと日々勉強中。関心あるテーマは教育、お金、哲学。好きな本のジャンルは児童書・YAで、特技は物語の世界に入りこむこと。