【書評】テレビドラマもスタート!『トッカン 特別国税徴収官』

2012.7.10 10:30

テレビドラマも放送中の『トッカン 特別国税徴収官』(高殿円)の書評。シリーズを通して描かれる、頼りないヒロイン“ぐー子”の成長に注目。

みなさん、ちゃんと税金払ってますか?

今週から始まった水曜日夜10時のドラマ「トッカン 特別国税徴収官」(日本テレビ系列)は、高殿円の「ハヤカワ・ミステリマガジン」連載作品が原作だ。伊丹十三監督の映画『マルサの女』で描かれたマルサとは国税局査察官のことで、強制捜査権をもって脱税の事実を調べ上げるのが役目である。それに対して本作に登場する国税徴収官は滞納分を納税者から取り立てるのがお仕事、いわゆる「差し押さえ」というやつも担当する。内部の隠語ではあれをSっていうんですって。

高殿円の『トッカン』は、誰もがその存在は知っているけど何をしているかまでは知らない、そういう職業を取り上げたことで雑誌連載時から話題になった作品だ。同じ公務員でも警官と税務官、どっちの仕事をよく知っているかといえば今は警官のほうだろう。税務官はたぶん、消防職員にも負ける。そういう職場に対する覗き趣味のような関心が、本書を手に取った人のいちばん多い動機だったはずだ(この欄で以前にとりあげた
久保寺健彦『ハロワ!』 [http://ure.pia.co.jp/articles/-/429] などもそういうタイプの小説でしたね)。

高殿が巧いのは、そうした職場の特殊性で惹きつけておいて、もっと広い層の読者に共感してもらえるような興味を提供したことである。本書の主人公、「ぐー子」こと鈴宮深樹は初登場時25歳、税務大学校(略して税大)を出て間もない新米で、京橋税務署で〈死に神〉と怖れられるトッカン、鏡雅愛付きの徴収官である。その鏡がぐー子に会うなり最初に言われた言葉が「九千八百円の女」だった。

「それ、○井で先週セールやってたリクルートスーツの売れ残りだろう」

そんなことを挨拶代わりに言われても、怒ることもできずに「ぐ…」と言い詰まる。だから「ぐー子」である。

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