魔宮は王墓?

セノーテから地上と空を見上げる (写真AC提供、撮影/Kawa7)

ところで、「魔宮」というのはニックネームのようなものです。

そもそも、どんな目的の建造物だったのでしょうね。

最近の研究では、マヤのピラミッドも、神殿を兼ねた王墓だったことが、分かってきました。

しかも神殿は、洞窟の上に築かれたそうですよ。

果たして魔宮も同じか、中に入って確かめましょう!

いえ、その前に!

入り口の梁、中央のモチーフは、マヤ文明の「太陽の石」(石に掘られた円形のマヤ暦)中央の太陽神のようですね。

同様のものが、ピラミッドの頂上や水飲み場にもあります。

ついでに、隠れミッキー・チェックも忘れずにネ。

洞窟発見

入り口から中に進んで行くと、広い空間が見えてきます。

足場の奥には、巨大な彫像と、下方に散らばる骸骨が目を引きますね。

しかも、下は水びたし。

どうやら魔宮は、セノーテ(地下の泉)、つまり洞窟の上に築かれたようです。

魔宮が建設された時代には、彫像の足元まで水があったかもしれません。

地下の泉、セノーテ (写真AC提供、撮影/Kumardi)

世界樹の根

空間には樹木の根が、たくさんぶら下がっています。

巨木になる、ヤシュチェ(セイバ)の木のようです。

マヤ文明においてヤシュチェは、天上界、地上界、地下界をつなぎ、四隅で世界を支えている、世界樹とされていました。

そのため、神殿を始めとした、神聖な場所に植えられました。

セノーテやヤシュチェから考えると、魔宮は神殿のようです。

すなわち、地上の神である、王の墓と考えられます。

地母神(ちもしん/じぼしん)登場

コアトリクエ像(メキシコ国立人類学博物館蔵) (ウィキクリエイティブ・コモンズ提供、撮影/tnoboris)

骸骨は、神に捧げられた、生贄のようですね。

天井の穴から、落とされたのでしょう。

足場の奥の、巨大な彫像は、生贄を捧げられた神でしょうか。

独特な姿は、コアトリクエ?

メキシコ・シティーの、国立人類学博物館に収蔵されている、コアトリクエ像にそっくりです。

コアトリクエ像と一致する特徴を、列記してみましょう。

猛禽類のような、足の鉤爪。

蛇がよじれ合って形づくられた、スカート。

ドクロや人の頭(顔の皮)をつないだ、首飾り。

首飾りに囲まれている、首から胸元に落ちたような顔(頭部)。

両手のそれぞれに支えられた、二匹の蛇。(オリジナルでは、二匹の蛇が頭部を形作っている。)

多くの一致点があります。

コアトリクエは、ウィツロポチトリ(太陽神で戦の神)の母であり、生と死(再生)の神、月と星の母、などとされています。

別名「蛇の淑女」「蛇のスカートをはく者」などとも呼ばれるのです。

更に!

ウィツロポチトリは、夜、ジャガーに変身します。

ジャガーの皮をかぶった顔のレリーフは、地下(夜)の母の神殿を守る、ウィツロポチトリかもしれません。

マヤ文明の神話によると、400人もの兄・姉が、母を殺そうと襲ってきたときに、ウィツロポチトリが母を守って一人で戦い、全滅させました。

地上の王の永遠の家としては、最適のセッティングです。

フォトギャラリー【写真15枚】TDSロストリバーデルタのモチーフ「マヤ遺跡」フォトギャラリー
  • マヤ遺跡
  • ケツァール
  • テオティワカンのケツァルコアトル装飾
  • テオティワカンのケツァルコアトル(彩色あり)
  • 地下の泉、セノーテ
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