<ビジネスソフト>前年同月比減が続く 新OSで販売増に期待 わかりやすい用途提案で堅調なソフトも

2012.10.2 11:14配信

ビジネスソフトの店頭販売が低迷を続けている。要因は、インターネットでのダウンロードや、クラウドサービスの隆盛。ただし店頭でも、使い方をきちんと提案することでユーザーの関心を引くことができるソフトは堅調だ。また、10月に発売されるマイクロソフトの新OS「Windows 8」も、店頭販売の起爆剤としての期待がかかる。

●加速するパッケージ離れ 5年間で3割以上の減少

家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」で、2007年1月を1としたビジネスソフトの販売本数指数をみると、08年1月が0.83、09年1月が0.74、10年1月が0.72、11年1月が0.70、12年1月が0.66と減り続け、5年間で3割以上減少している。また、この1年間の販売本数前年同月比も、東日本大震災の影響で昨年大幅に減少した月(3月)を除けば、軒並み10%前後の減少で推移している。

パソコンユーザーが急激に増えた2000年前後は、オフィスソフトやセキュリティソフト、ハガキソフトなどは、パソコンという“箱”を活用しようとするユーザーにどんどん売れていった。多くの家電量販店が、パソコン売り場とともにパッケージソフト売り場を設け、販売は好調だった。しかし、インターネットが普及して通販サイトが増加したことで、一部のユーザーが店頭から離れたことや、また、インターネットの通信環境がISDNからADSL、光へと進化し、大容量の通信がストレスなくできるようになるにつれて、ダウンロード販売で購入するユーザーが増えていった。こうした動きのなかで、家電量販店のパッケージソフト売り場は縮小され、ビジネスソフトの店頭販売は減少傾向をたどることになった。

インターネットでのダウンロード購入は、あらかじめパソコンにバンドルされていて、利用を継続するにはライセンスを更新する必要があるセキュリティソフトなどに多い。ビジネスソフト販売本数全体の4割程度を占めているセキュリティソフトは、今年8月は前年同月比で94.6%。少しでも数字が下がれば、ソフトウェア全体を押し下げる影響力をもっている。

また、スマートフォンやタブレット端末など、スマートデバイスが普及したことでパソコンの使用頻度が減っていることや、クラウド型サービスを利用するケースが目立ちはじめていることも、ユーザーのパッケージ離れを加速させている。

●店頭接客で機能を訴求 Windows 8で店頭回帰も

ビジネスソフトの販売減は、このように複数の要因が重なった現象で、容易に打開できるものではないだろう。しかし、それでもなお、店頭で売れる製品はある。その一つが、セキュリティソフトなどのように、すでにユーザーの理解が進んでいる“成熟商品”ではなく、ユーザーがその機能や利便性を理解する必要があるパッケージソフトだ。販売数そのものは大きくなくても、店頭の接客でわかりやすく説明することで機能を理解してもらえるソフトは、店頭での販売が堅調に推移している。

例えば、パラレルスの仮想化OSソフト「Parallels Desktop」シリーズ。パラレルスは、パッケージデザインで「仮想化」よりも「MacでWindowsが使える」ことをアピールしている。ここ数年のiPhone人気で、連携の使い勝手などからWindowsからMacに乗り換える層も含め、お客様に対してWindows環境とMac環境を一台のパソコンで使えるようになることを店員がきちんと説明している家電量販店では、しっかり売れているようだ。

もう一つのパッケージソフトの可能性が、10月に登場するマイクロソフトの新OS「Windows 8」だ。新しいOSに乗り換えようとする層だけでなく、新OSに対応するビジネスソフトを必要とするユーザーが、知識の吸収も含めて店頭に回帰する可能性がある。

ソフト販売に力を入れている家電量販店では、「ビジネスソフトの販売は、お客様がパソコンで困っていることをしっかりと聞き、適したソフトの提案や、豊富な品揃えが重要となる」(ビックカメラのスタッフ)として、ビジネスソフトのコーナーを広く確保している。ユーザーに響く製品を、接客の際に的確に提案することこそが、厳しい販売状況の改善につながるだろう。(佐相彰彦)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。

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