丸山桂里奈選手

卓越した技術もさることながら、チームワーク=仲間力で世界から賞賛を受ける「なでしこジャパン」。今夏のロンドン五輪で日本中を沸かせたメンバーは、その大半がプレッシャー世代(※)だ。なでしこジャパンのムードメーカー・丸山桂里奈選手に”ここ一番”で最大限の力を発揮する術を直撃した。

仲間との信頼関係があるから
私は走ることができるんです

2011 年のFIFA女子ワールドカップ優勝、そして今年のロンドン五輪銀メダルと、立て続けに驚くべき活躍を見せたサッカー日本女子代表「なでしこジャパン」。アメリカ、ブラジル、ドイツなど、身体能力・個人技に勝る強豪国に対し、パスを丁寧につなぎ、よく走り、チームプレーで勝利を重ねていく姿が、日本のみならず世界中のスポーツファンの感動を呼んできた。

現在のなでしこジャパンの中心メンバーは、大半が1982 ~1987 年生まれのプレッシャー世代に属している。例えば、女子代表として歴代2位の「120試合出場」(2012 年9月現在)を果たしているキャプテン・宮間あや選手は1985年生まれ。歴代得点数3位で、ロンドン五輪でも3得点を挙げたフォワード・大儀見優季選手は1987年生まれだ。

そして、貴重な場面でゴールを決めてきた頼れるストライカー・丸山桂里奈選手は1983年生まれ、現在29歳。チームのムードメーカーとして知られ、まさになでしこの“仲間力”を象徴する選手だ。なでしこジャパンのようなチームワークを獲得するためには、どんなことを意識すればいいのか。丸山選手は「密なコミュニケーションを取ること」「目的を共有すること」の2点を挙げる。

「なでしこジャパンでは、自分が言いたいことはストレートに伝えるし、仲間の意見もきちんと聞く環境があります。会社で言う“上司”にあたるノリさん(佐々木則夫監督)も、選手と同じ目線で接してくれたので、とても話しやすかったんです。女性の集団なので、本来なら性格的に合う/合わないという部分も出てくると思うのですが、なでしこジャパンのメンバーには、単に“サッカーが上手”なだけではなく、フォア・ザ・チームを第一に行動できる選手がそろっているので、コミュニケーションの問題でチームが停滞することはありませんでした」


【プレッシャー世代のなでしこ】(ロンドン五輪代表メンバー)
ロンドン五輪代表のなでしこジャパンは、バックアップメンバーも含めた22人中、実に15人がプレッシャー世代。活躍の要因は、卓越した「仲間力」にあり!?

1982年生まれ:安藤梢(7月9日生まれ/FW)―FCR2001デュイスブルク(ドイツ)

1983年生まれ:丸山桂里奈(3月26日生まれ/FW)―スペランツァFC大阪高槻
          福元美穂(10月2日生まれ/GK)―岡山湯郷Belle

1984年生まれ:大野忍(1月23日生まれ/FW)―INAC神戸レオネッサ
          近賀ゆかり(5月2日生まれ/DF)―INAC神戸レオネッサ
          矢野喬子(6月3日生まれ/DF)―浦和レッズレディース

1985年生まれ:宮間あや(1月28日生まれ/MF)―岡山湯郷Belle
          川澄奈穂美(9月23日生まれ/MF)―INAC神戸レオネッサ

1986年生まれ:上尾野辺めぐみ(3月15日生まれ/MF)―アルビレックス新潟レディース
          海堀あゆみ(9月4日生まれ/GK)―INAC神戸レオネッサ
          岩清水梓(10月14日生まれ/DF)―日テレ・ベレーザ

1987年生まれ:鮫島彩(6月16日生まれ/DF)―ベガルタ仙台レディース
          坂口夢穂(10月15日生まれ/MF)―日テレ・ベレーザ
          大儀見優季(7月15日生まれ/FW)―1.FFCトリビューネ・ポツダム(ドイツ)
          有吉佐織(11月1日生まれ/DF)―日テレ・ベレーザ


※【プレッシャー世代】とは
最近、ネット界やビジネスシーン、学問の世界などで新世代が台頭し始めている、現在25歳から30歳(1982-1987年生まれ)の世代。ゆとり世代と 氷河期世代の間に位置。人 気ブロガー“sugio”さんが2007年に命名。ネット上で生まれ、ネット上で話題となった。sugioさん曰く「’82 年生まれの北島康介さんのように、人生の大一番で実力をフルに発揮できる有名スポーツ選手が目についた。下のゆとり世代や上のポスト団塊ジュニア世代に比 べて、明るい中にも独特のピリっとした雰囲気を漂わせる方が多いように見受けられた。そこに彼らが過ごした時代性が反映されているのではないか、様々なプ レッシャーに耐えてきた世代なのではないかと考え命名した」とのこと。ここ一番で強さを発揮する、明るさの中に緊張感を秘めた世代。