<The Fancy>『ピンタレスト』型のデザインに加え、EC機能を備えたSNS。ブラウザを縦スクロールすることにより、気になった商品を簡単にチェックできる。リアル店鋪を渡り歩くようにして、お気に入りの一点を探しだす、買い物の本来の楽しみが味わえるサイトデザインになっている。日本語に対応しているのもうれしい。

こうした『ピンタレスト』の可能性に注目し、似たインターフェイスを取り入れた画像共有サービスが次々と登場している。その代表格がソーシャルコマースサイト『The Fancy』だ。『The Fancy』は『ピンタレスト』同様、写真共有型のSNSだが、その場で商品を売買できるEC機能を備えている。『ピンタレスト』のサイトデザインの特長である、ブラウザをスクロールするごとに新しい画像を自動的に表示する「無限スクロール」を採用した『TheFancy』は“EC版ピンタレスト”とも言われ、アップルによる買収が噂されるほどアメリカでは大きな存在感のある画像共有型ECサービスに成長している。

また、日本発の『Sumally』も、「モノの百科事典」をコンセプトとした新しい画像共有サービス。『Sumally』は画像を介した通販カタログとしての側面に加え、所有者の情報も紐付けることで、サイト上でコミュニケーションを活発化させている。

「ECサイトにソーシャル機能を持たせることで、モノの情報だけでなく、モノの後側にストーリーが見える。そこが画像共有型ECサイトの最大の魅力です。ソーシャル機能だけでモノを売ることができるかと言えば個人的には疑問ですが、商品に関心を持っているユーザーの背中を押すという面では、Facebookの〈いいね!〉をはじめとするソーシャル機能は有効でしょう」(年吉編集長)

<WANELO>ファッションアイテムを購入することに特化したSNS。アイテムを新商品順、人気順、店別、自分がフォローしている別など、カテゴリー別に閲覧できる。これにより、数多くの商品の中から、自分が欲しいものだけを確実に探し出すことができる。まだ日本語に対応していないが、おしゃれ好きの間では人気上昇中。

<OpenSky>各ジャンルの専門家など、影響力のある人物たちが商品をおすすめするキュレーション型SNS。自分が気に入った紹介者を見つけ、その人の記事を読んだり、フォローしながら、欲しいアイテムを手に入れることが可能。雑誌的な肌触りのあるサイトデザインも特徴のひとつだ。こちらも日本語には未対応。

ほかにも、『ピンタレスト』と同じくグリッドデザイン(格子上のレイアウト)を採用し、ファッションアイテムに特化した『WANELO』や、各カテゴリーの専門家や著名人がキュレーターとしておすすめ商品を紹介する『OpenSky』など、画像共有型ECサイトは百花繚乱状態だ。また、動画に出てくるモノにタグ付し、ECサイトに誘導するサービス『veenome』まで登場している。

「かつては、欲しいと思えるアイテムをユーザーに紹介する機能を雑誌が担っていました。しかし、そうした役割はソーシャルメディアに移行しつつあります。特に日本人は、モノを購入するに当たって、何か裏付けとなるものを欲しがる国民性。そういう意味では、ソーシャル機能を持たせた画像共有型ECサイトは日本人との相性が良いサービスと言えるかもしれません」(年吉編集長)