携帯電話3社は、1月下旬に学生向けのキャンペーンを開始した。共通するキーワードは「家族」。学生本人だけではなく、条件を満たせば両親や兄弟、祖父母など、家族も恩恵を受けられる。対象となる「学生」の年齢はキャリアによって異なり、ソフトバンクモバイルは0歳以上、NTTドコモは3歳以上、KDDI(au)は小学生以上。「学生」には、大学生・大学院生・専門学校生なども含まれ、子ども・学生から親にあたる大人まで、実際の対象者はかなり広い。今回は、例として、2012年秋以降に発売した携帯電話のなかで販売台数No.1の「iPhone 5」を取り上げ、ソフトバンクモバイル、auのそれぞれの学生向けキャンペーンの概要と、キャンペーン適用時の3年間のトータル費用を比較した。

●「iPhone 5」は2012年秋冬モデルでNo.1の売上げ

家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、「iPhone 5」は、2キャリア販売分を合算すると、2012年9月から2013年1月まで、5か月連続で月間販売台数1位になっている。発売直後の10・11月には携帯電話全体の4割弱を占め、発売から3か月以上経った2013年1月でも26.1%と、2位以下を大きく引き離し、高いシェアを保っている。

キャリアごとに集計すると、ソフトバンクモバイルの「iPhone 5」がずっとauの「iPhone 5」を上回り、トップに立っている。「iPhone 5」に限ったキャリア別販売台数シェアは、2013年1月31日までの累計で、ソフトバンクモバイルが57.4%、auが42.6%。「BCNランキング」の集計対象の家電量販店に限ると、ソフトバンクモバイルが10ポイント以上の差をつけ、依然として優勢だ。

●学生なら絶対オトク! 基本使用料3年間無料で通常より3万5280円も安い!

さて、本題に入ろう。学生とその家族向けのキャンペーンとして、ソフトバンクモバイルは1月25日に「ホワイト学割with家族2013」、auは1月22日に「『学割』キャンペーン」を開始した。「学生」についてはキャンペーンの内容は同じで、指定の条件を満たせば、申し込んだ学生本人の月額980円の基本使用料が最大3年間無料になる。ただしauは、新規契約・MNP限定。ソフトバンクモバイルは、既契約者でも、初めて「学割」を利用する場合に限り、機種変更を条件に利用できる。

「家族」については、auの場合、キャンペーン対象の学生との「家族割」を申し込むと、MNPなら最大3年間、新規契約なら最大1年間、月額980円の基本使用料が無料になる。

ソフトバンクモバイルの場合も同様に、MNPなら最大3年間、新規契約なら最大1年間、月額980円の基本使用料が無料になる。さらに、キャンペーンに申し込んだ家族を対象に、地上デジタル放送を視聴できる防水仕様の3G通信機能付きデジタルフォトフレーム「PhotoVision TV 202HW」本体(ソフトバンクオンラインショップ価格2万1360円)を無料でプレゼント(希望者のみ)する。

別途、2年単位の「PhotoVision TV」の回線契約が必要となるが、フォトビジョン向けキャンペーン「フォトビジョン基本料無料プログラム」が適用され、最大2年間、基本使用料・ユニバーサルサービス料が無料になるので、当初2年間は費用はかからない。「PhotoVision TV」はIPX5の防水に対応しており、今春から一人暮らしを始める学生・新社会人や、お風呂やキッチンなどでテレビを見たいと思っていた人は重宝するだろう。両社のキャンペーンの主な違いは、対象年齢・条件、そして家族で加入した場合の特典(「PhotoVision TV」本体の無料プレゼント)の有無の3点だ。

学割キャンペーン適用時の割引額の合計は、学生本人で3万5280円。3年間継続して使えば、通常より3万円以上も安くなる計算だ。例えば、新規契約・MNPの場合、最大24か月間、一定の金額を割り引くサービス(ソフトバンクモバイルは「月月割」、auは「毎月割」)が適用されると、端末代が実質無料になる「iPhone 5」16GBモデルを一括払いで購入した場合、毎月支払う金額は、どちらのキャリアでも3000円台になる(通話料0円、有料オプションなしの場合)。この程度なら、アルバイトをしている大学生・高校生なら自分自身の収入で支払えるだろう。親が契約者となって、子どもに代わって料金を支払う場合でも負担は少ない。

●家族全員でMNPするとさらにオトク! 3人家族なら通常より10万円以上も安くなる

家族全員で利用すると、割引額の合計はさらに増える。例えば父と母、母と社会人の兄弟など、学生本人と他社携帯電話を利用していた家族2人の計3人がこのキャンペーンを利用すると、3万5280円×3で、合計10万5840円も安くなる。学生本人は新規・MNPによる割引額の差はないが、家族は新規契約だと基本使用料無料の期間が3年から1年になり、割引額は1万1760円に減ってしまう。なるべく費用を抑えたいなら、家族揃ってMNPを利用してキャリアを乗り換えるパターンが最も安い。

「家族」の範囲について、ドコモでは「3親等以内」という制限があるが、ソフトバンクモバイルとauにはそうした制限はなく、家族関係を示す所定の書類を提出すれば、別居している祖父母や子どもなども「家族」とみなされ、キャンペーンの対象になるという。同時に申し込む家族が多いほど、割引額は大きくなる。

ソフトバンクモバイルの「ホワイト学割with家族2013」、auの「『学割』キャンペーン」は、「iPhone 5」以外の他のスマートフォンでも利用できる。iPhoneの取り扱いがないので記事では除外したが、NTTドコモも同様のキャンペーン「応援学割2013」「学生家族いっしょ割」を実施している。詳細や注意事項は、それぞれのウェブサイトで確認してほしい。

携帯電話・スマートフォンは、もはや単なる電話機ではなく、インターネットを通じて家族や友人・知人とつながるコミュニケーションツールだ。特にリアルタイムのやりとり・情報共有は、高速データ通信に対応し、高い処理性能を備えた最新スマートフォンならではのメリット。最低料金プランで利用していた従来型携帯電話からスマートフォンに切り替えると、月々の料金が大幅にアップするので、これまで購入を見送ってきた方もいるかもしれない。学生はもちろん、親世代も、条件を満たせば通常よりかなりおトクな今春のキャンペーンを利用して、念願の”スマートフォンデビュー”を果たしてはいかがだろうか?(BCN・嵯峨野 芙美)

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