■『最高の離婚』はエンディングまで注目

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2番目に期待値の高かった『夜行観覧車』も、『とんび』と同じく小説が原作の作品。湊かなえの家族小説で、秋ドラマでは湊かなえが自ら脚本も担当した『高校入試』を放送していたが、今回は映画『八日目の蝉』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した奥寺佐渡子らが脚本を担当している。視聴率は初回が11.7%で、2話が12.2%、3話が12.3%と上昇傾向。連ドラだけあって、犯人は誰かという部分を煽っているのが功を奏しているのかもしれない。ただ、そういう見方をしていると、最後に物足りなさを感じてしまうかも……。犯行動機に関わる部分は序盤から意識的に描かれているので、それぞれの家族の描き方に注目して見たほうが、よりこの作品にハマれそう。

3位の『最高の離婚』は個人的にも期待していた作品で、初回の視聴率は13.5%。3話で10.8%まで下がったが、4話ではまた12.3%と盛り返している。コメディタッチではあるけど、30代男女の内面をえぐるようなシリアスなセリフも多くて、かなり見応えのある内容になっている。瑛太、尾野真千子、真木よう子、綾野剛のキャラクター分けも最高。若者にはあまりウケないかもしれないが、このまま大人の固定ファンがつけば視聴率も大きく下がらないような気がする。

あと、このドラマはエンディングのタイトルバックも面白い。毎回、少しずつ内容が違うのだが、基本的には瑛太、尾野真千子、真木よう子、綾野剛の4人が桑田佳祐の「Yin Yang」に合わせて踊っている。このタイトルバックも含め、細かいところまで丁寧に描いている作品なので、しっかりチェックしておいたほうがいいと思う。

■『ラストホープ』は期待以上の面白さ

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フジテレビ系火曜10時の『サキ』は、2011年1~3月期に放送された『美しい隣人』の沙希が帰ってくるということで期待も高かったが、視聴率はあまり伸びず、3話以降はひとケタが続いている。前作は檀れいが演じる絵里子の生活が主体だったので、振り向けば沙希がいるというような怖さがあったが、今回はサキのアクティブな行動がメインなので、ややあざとい感じが出てしまっているのかもしれない。サキがターゲットにしている複数の男性は、みんな過去に会っている相手らしいので、その過去が明かされるであろう終盤に期待か。

同じくフジテレビ系火曜9時の『ラストホープ』は、王道の医療モノでありながら、いろいろと変化をつけていて、期待以上の仕上がりになっていると思う。チームで困難な治療にあたる『医龍』的な要素もあるのに、メンバーの考え方はバラバラで、ちっともまとまりがないところがかえっていい。最先端医療の現場が舞台なので『ドクターX』的なスーパードクターを出してもよさそうなものだけど、むしろ名医に頼らない治療を目指しているところもいい。メンバーそれぞれに複雑な過去を持っていて、しかもそれがつながっているという縦軸もある。そのメンバーの過去を描くシーンがちょっと多すぎる気もするけど、通常シーンの会話はテンポがあるので、そんなに間延びした感じもしない。この作品は相葉くん推し以外の人も見て損はしないと思う。

『おトメさん(上)』 井上由美子(著)、高橋美夕紀 (著)
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リサーチでは『ラストホープ』と同じ期待値だったTBS系木曜9時の『あぽやん』は、逆にちょっと期待はずれだったかも。空港モノということで期待されたのかもしれないが、さすがに作りがB級過ぎた。ストーリー的に最後は良くても、前半のドタバタを見るのがけっこうしんどかったりするし……。むしろ『あぽやん』の裏番組、テレ朝系の『おトメさん』のほうが、同じB級っぽい作りでも面白く見られると思う。脚本が井上由美子だけあって、次回への引っ張りがうまいし、なにより相武紗季のいじわる顔がハマり過ぎて目が離せない。この時間、気楽に見るなら『おトメさん』のほうがオススメだ。