そこで、そうならないようにするためには、インシュリンの過剰分泌を避けるため、糖質を抑えた(せめて適正量)の食事をとる必要があります。

脳の栄養補給を糖分に頼るのではなく、タンパク質や脂肪を適切に摂り、糖質が多いといわれているご飯やパンなどは、控えめにすることが大切です。ここでキモなのは、ゼロにはしないこと。よく炭水化物ダイエットなどで糖質を全く摂らない人がいますが、今度は糖質不足で体を動かすエネルギー不足となり、体が疲労しやすくなります。これが慢性的に続くと、常に疲れがとれない状態となり、うつの原因になってしまいます。

まとめると、糖質を摂りすぎると、ノルアドレナリン不足によるうつ症状が発生しやすくなる。少なすぎると、やはり血糖値を上げなければならないとノルアドレナリンが分泌され、ノルアドレナリンが不足状態になります。糖質はバランスよく、自分の運動エネルギーにみあったように摂ることが肝心です。ですからスポーツマンや肉体労働の人は糖質を少し多めに摂っても、すぐにエネルギーに変換されるので、多めにとっても問題ないのですが、デスクワークで運動不足の人が糖質過多だと、エネルギーに変換されず、インシュリンばかり分泌され、糖質が脂肪にかわって蓄積してしまいます。
 

甘いものを食べてストレス解消?

よく甘いものを食べて「はぁー元気になった!」と感じたことはないでしょうか。これは脳内ホルモンのセロトニンの原料であるトリプトファンが甘いものを食べたときに優先的に脳内に取り込まれるからです。その結果ハッピーホルモンといわれているセロトニンが増加して、幸せな気分・元気な気分になるのです。しかし、甘いものを続けて食べていても、徐々にその気分は失われていきます。その理由はトリプトファンがすでに消費されているため、セロトニンが生成できないからです。

また甘いものを摂りすぎると、インシュリンが常に分泌され、前述のノルアドレナリンの消費と内臓脂肪の増加による肥満につながります。ここでノルアドレナリン不足によるうつになると、肥満で運動がしにくいのでセロトニンができにくく、ノルアドレナリンも不足という、不足するとうつ病の原因となる二大ホルモンのどちらも不足している状態になってしまいます。よくうつ病で太ったという人がいますが、太ったからうつがひどくなったというのが多いのではないでしょうか。
 

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