相手の感情の変化を一つのキスシーンの中で感じられる

撮影/小嶋文子

――お相手の方とはどのようにコミュニケーションを取りましたか。

正直、今回は何もしてないかも(笑)。キスシーンの前後は他愛のない会話をしようとは心がけていましたけど、本当にその1日で撮影が終わってしまうので、逆にいい意味でのドキドキ感がずっとあったように思います。

シーンについて話すことも多少はあったんですけど、とにかく時間がそんなになくて、いきなりカメラを回すという感じで(苦笑)。

どちらの話も物語の展開的に男性の僕からいく場面が多かったので、どうやって相手の方の心を開かせていこうかみたいなことは考えましたけど、やっていくうちに徐々に「少し心を開いてくださったかも」と感じられる瞬間もありました。そういう感情の変化を一つのキスシーンの中で感じられるというのも面白いなと思いました。

――キスがメインの作品なのでセクシーさが必要になる場面も多かったと思いますが、その点で心がけたことはありますか。

この作品に限らずですけど、キスシーンでは顔の角度や手の使い方は意識しました。ただワンカットが相当長くて……普通に5分以上あることもあったので、途中から何をすればいいのかわからなくなるときもあって(苦笑)。

もうそのときは角度とかは気にしていられなくなっていました。カメラで撮られていることも一瞬忘れるイメージでした。

撮影/小嶋文子

――外見的に気を使った部分もありましたか。

いつもの3倍くらい塗っていました(笑)。あとは爪ですかね。手が映るのできれいにしていきました。

――率直なキスシーンの感想は?

とにかくすごく長いという(笑)。それから、お相手の方とは撮影現場で初めてお会いする形だったので、最初は「大丈夫かな?」という心配もありました。

普通の作品だとある程度の撮影期間があって、仲良くなってからキスシーンを撮るという流れが多いと思うんですけど、今回はお互いを知る間もなくキスシーンだったので。

けどやってみたら、それなりの長い時間、ある意味、カメラの前でお互いに自分をさらけ出すことをしていたからか、終わったら「前から知り合いだったかな?」みたいな、変な感覚がありました。