「気になる人がふたりいる」という矛盾

傷つきたくない、できれば自然な流れで女性との仲を深めたいと考えるAさんの気持ちはよくわかります。

振り回すのではなく距離を置いて丁寧に接したいとする言動も伝わるのですが、問題は自分の本気度を知ってもらいたいと思ったときの「複数の女性に気持ちを向ける矛盾」です。

本来、恋愛は一対一で進めるものであり、心から「好きだ」と思えるのはひとりだけ、それをお互いに受け入れて交際は成立します。

現在「どちらと付き合えるかを見極めたい」とするAさんはふたりの女性を天秤にかけている状態で、つまりいつまでも肝心の本気度を本人が育てられない中途半端なつながりが続いています。

その本気度を決めるのを相手任せにしているのが、Aさんの関わり方のまずい点。

女性からの視点でいえば、自分以外にも粉をかけている人がいると知ることはなくても、無難な話題ばかりでふたりの関係を積極的に進めようとしない、「今日は休みで時間があるんだ」とだけ伝えて「どう返すか様子見をする気配を感じる」Aさんの姿に、“誘ってほしい”の圧に窮屈さを覚える可能性もあります。

「どちらが誘うのが正解か」「好きなら自分から誘うはず」の話ではなく、こちらの言動を先に待つAさんが垣間見えるため、そこで好意が止まってしまうかもしれません。

「気になる人がふたりいる状態」は、Aさん自身が「どちらの女性にも真剣に向き合っている」つもりでも、実際は「仲を深める決定打をどちらにも出せずに立ち往生する」ことになるのですね。

その決定を相手の動きに任せてしまえば、女性から動かない限りいつまで経ってもつながりに変化はなく、「どちらと付き合えるか」の見極めもできません。