iPhone 5s/5cが1位~10位に並んだ(画像は5位まで)

家電量販店の実売データを集計したBCNランキングの携帯電話ランキングで、2013年11月第1週(11月4~10日)、アップルのスマートフォン「iPhone 5s/5c」が1位から10位までを独占した。9月20日の発売から数えて8週目にして、初めてライバルのAndroidスマートフォンや従来型携帯電話の新製品をトップ10圏外に追いやり、”快挙”を達成した。

●3キャリア合わせて15機種中10機種がトップ10にランクイン

BCNランキングは、iPhoneの場合、通常「機種別」としてキャリア・容量ごとに別々にカウントしており、新モデル「iPhone 5s/5c」は、3キャリア合わせて15機種に分かれる。過去のデータを確認したところ、週間ランキング(機種別)のトップ10をiPhoneが独占したのは、集計開始以来初めて。当サイトで公開している携帯電話のランキングページ(原則、毎週火曜日に自動更新)は、ネット上で”珍現象”と話題になった。

「iPhone 5s/5c」とAndroidスマートフォンで人気の「Xperia Z1」に限ってキャリア・容量を合算すると、「iPhone 5s」は、発売以来、ずっと1位を獲得している。販売台数はケタ違いで、シェアは発売日を含む9月第3週(9月16~22日)で42.3%、直近の11月第1週でも36.0%と、飛び抜けて高い。

BCNランキングの週次データで「iPhone 5s/5c」の売れ行きを振り返ると、「iPhone 5s」は、9月第3週をピークに、発売2週目以降は減少傾向にあったが、10月最終週と11月第1週はやや盛り返している。この間の販売台数の増減は、おおむね入荷状況によるものだろう。一方、カラフルな5色のバリエーションを揃え、発売当初から在庫が潤沢にあった「iPhone 5c」はほぼ一定の水準で推移し、11月第1週には過去最高の販売台数を記録した。「iPhone 5s」に比べるとカメラの性能・機能がやや劣る「iPhone 5c」は、MNPや新規で、できるだけ安くスマートフォンを手に入れたい層に向けた廉価版の位置づけになりそうだ。

従来型を含む携帯電話全体でのアップルのメーカー別販売台数シェアは、「iPhone 5s/5c」の発売を機にさらに上昇し、最大66.9%に達した。ドコモの「Xperia Z1 SO-01F」、auの「Xperia Z1 SOL23」が発売された10月第3週(10月21~27日)は、ソニーモバイルコミュニケーションズが躍進したために一時的に下がったものの、翌週には再び50%台に上昇した。スマートフォンに限ると、シェアはさらに10ポイントほどアップする。

5年前の2008年7月、国内初代モデル「iPhone 3G」が発売になったとき、業界を大きく揺るがす「黒船」だと騒がれたが、まさかここまで圧倒的なシェアを獲得するようになるとは誰も予想していなかった。iPhoneに代表されるスマートフォンは、今やアクセサリ、アプリなどの関連製品・サービスにとどまらず、ライフスタイル、コミュニケーション、マナー、文化など、幅広い分野に影響を与えている。

今秋からようやくドコモも取扱いを開始し、キャリアを問わずiPhoneを利用できる環境が整った。その影響は、もう少し時間がたってから改めて考えたい。2013年11月10日までの累計での「iPhone 5s/5c」のキャリア別販売台数シェアは、発売1か月後の10月20日までの時点と変わらず、ソフトバンクモバイルがトップだが、「iPhone 5s」に限ると、ソフトバンクモバイルとドコモがともにシェア30%台後半で並び、僅差で競っている。週次集計では、ドコモがシェア4割超でトップに立つ週もあった。ただ、11月に入ってからはauが追い上げつつあり、その結果、今回の「トップ10独占」が発生した。キャリアの勢力図をはじめ、密かにさまざまなことが変わりつつあるのかもしれない。(BCN・嵯峨野 芙美)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。