関係に無責任でいようとするから愛されない

独身なのに、既婚だとあえて嘘をつくことで相手の愛情を引っ張ろうしたAさんは、その結果何も手にすることなく男性を失いました。

既婚と言いながら配偶者ではない異性に好意をぶつける姿は、結婚関係にもその異性との関係にも無責任でいたい証拠とも受け取れます。

結婚関係が実際は嘘であっても、その真実を知っているのは自分だけであり、相手は「既婚者から好意を向けられる自分」にも「その既婚者に好意を向けてしまう自分」にも苦しみます。

今回のケースは、男性側がその矛盾に耐えきれずに逃げ出したともいえますが、そう仕向けたのはAさんであり、Aさん自身もまた、大きな葛藤から逃げられずにいます。

Aさんが抱える葛藤とは、男性を好きな自分に素直になれず「信用できない」と言われてしまったこと、真実を告げたいけれどその後に受ける責めが怖くて結局は男性を失うことになる可能性に怯むこと、「自分のしたことで自分が苦しむ現実」です。

本当に男性のことが好きであれば、そのつながりに責任を持って関わろうとする姿勢こそが相手の心を開きます。

自分だけが安全地帯にいて相手を一方的に翻弄するようなやり方は、関係に無責任なだけでなく相手の気持ちをないがしろにするのと同じ。

これまでの、「付き合う寸前でうまくいかずに縁が切れる」状態を見れば正面から向き合うのが怖くなる気持ちはわかりますが、それでも、その自分が相手に与える影響をきちんと想像しないと結局はすべてを失います。

Aさんは、「時間を置いて、彼には本当のことを話そうと思います」と最後に顔を上げて言いましたが、その勇気が、今度こそふたりの関係を健全な愛情のもとで育てていくきっかけになればいいなと思います。

「既婚のステータス」を独身者との恋愛に利用することは、結婚が真実であれ嘘であれ、相手とまともな関係を築けないという点で大失敗といえます。

独身者だからこそ不倫のような不毛な関係を避ける人は当然に多く、先のないつながりから逃げ出すことを、既婚のステータスを利用する側は止められません。

恋愛で何よりも肝心なのは、相手を好きな自分に胸を張る自信です。

それを持たずに好きな人とうまくいくことはないのだと、改めて考えたいですね。