4.面接をカンニングする男編

試験でのメールやTwitterなどを使った集団カンニングなどの対策が叫ばれています。採用筆記試験でも全く同じで、同じ大学や友人同士が近くの席にならないように座席をランダムにしたり、試験問題を違うものにしたりと工夫をしています。

しかし面接ではそんな対策はしていないのが事実。その盲点を突いたのが……Dさんでした。

Dさんとの個人面接。Dさんは両耳にイアホンを付けて登場。エントリーシートに耳の聴力が弱い旨の記載をしていたので、特に面接する側も気にせず、補聴器だろうと思って面接は始まりました。

初めのうちは、面接官の質問に若干のたどたどしさもあるものの答えるDさんでしたが、面接が長引くにつれ、こちらの言っていることを聞き返したり、答えに苦しむことが多くなりました。そして、30分が経過し、Dさんの顔は紅潮し、何も答えられなくなりました。

面「Dさん。最初は好調でしたけど、なにか体調でも悪いのですか?」
D「いえ、特にそんなわけでは……」

そのとき、人事課長は疑いの目をDさんに向けて、こう言いました。

面「Dさん、大変失礼ながら、補聴器を外してもらえますか」
D「な……なんでそんなことを」
面「ずっとおかしいと思っていたのですけど、そのイアホン、補聴器ではないですね」

人事課長がDさんに近づき、補聴器のコードをたぐり寄せると……そこには携帯電話がつながっていました。
そうです。Dさんはこれで外部と通信、質問に対する返答を外部にいる人間から教えてもらっていたのでした。まさしくカンニングでした。

当然、Dさんは失格となりました。答えに苦しんだのは、人事課長の質問が長く、答えに困るものになっていたからでした。

面「いや、よくわかりましたね。補聴器じゃないって」
課「いや、たまたま母が補聴器を新しくしたがっていてね。いろいろさがしたんだけど、あんな形の補聴器はなかったんだよ。しかしDさんはずっと耳が悪いふりをして、仕事をするつもりだったんだろうか……」

それの方がよっぽど辛いのではないかと考える面接一同でした。

 

番外編.親御さん編

かなり昔「うちの子にかぎって」というドラマが大ヒットしました。過保護の親は就職活動にさえつきまとう始末です。さすがに一つのストーリーにするほどのものはなく、箇条書きになりますが、こんな親御さんがいました。

・エントリーシートの筆跡が親。しかも書いてある内容が古い。
・説明会予約の電話が親の声。
・説明会を開くとき、親が付いてくる。
・親があっち系の方
・内定を出すと、毛書で決意状が、親から送られてくる。
・不採用にすると、なぜ不採用なのか質問状が、やはり親から送られてくる。

その他、いろいろありましたが、親が絡んだ場合、100%不採用になっていました。
自分の就職です。親に立ち入らせないようにくれぐれも注意しましょう。

Web制作会社・人材派遣/紹介会社・広告代理店の人事総務。人の人生を決めてしまう仕事という重責に押しつぶされ、ピロリ菌に感染していた胃が真っ赤っか。社屋移転の予算がないときは、自分でオフィスの配線を行い、感電して2週間入院したことも。現在は、中小企業向け人事コンサルティングを行う。孤独で相談相手がいない社長と朝まで激論を交わしたりするが、とにかく本に書いてある理論よりも現場がどうなっているのか、どうしたいのかを聞きまくるのが楽しくてたまらない。