現在道路交通法によって、6歳未満の子供は「チャイルドシートの使用」が義務づけられているのはご存じの通り。しかし実際にチャイルドシートの装着率は今だ60.2%にとどまるという(2013年 警察庁・JAF調査)。

ママにとって「我が子の安全の確保」は、何事にも替えがたい大切な義務のはずなのに、なぜこのような装着率になってしまうのか?

 

「かわいそう」「ちょっとだけ…」が命取り

そもそも、子供にとって身動きを封じられるチャイルドシートは、決して楽しい装備ではないだろう。特に1歳未満の乳児はそれを“泣きわめく”という方法で必死にママへ訴えかけるケースはとても多い。カワイイ子供の安全のため装着させているのに、本人にとっては耐え難い苦痛というジレンマ……。

そうなると泣きわめく子供が可哀想になってつい、「ちょっとくらいなら抱っこしていても大丈夫!」と、チャイルドシートを“外す”という行為をしてしまう。はたまた「抱っこひもを装着していれば、いざという時もある程度ガードできるはず」というママもいるかもしれない。

60.2%という装着率には、自己の経験も踏まえてこんな背景があると考える。

チャイルドシートを装着していない子供が事故に合うと、どんな事態となるのか? 早速JAF東京支部事業課の新井友也さんにお話しを伺ってみると、次のような回答をいただいた。

「 例えば、時速40kmで走行中に前面衝突により時速0kmになった場合、慣性の法則により、人間は体重の30倍以上の力で前に動いてしまいます。体重10kgの赤ちゃんを抱っこしていた場合、300kg以上。

事故が起きるタイミングは予想できませんので、いきなり300kg以上の力で赤ちゃんが前に飛ぶのを押さえなければならないことになりますが、普通の人であればまず無理です。抱っこひもを装着していても同様です。

その結果、車の内装などに赤ちゃんが叩き付けられたり、窓を突き破って外に放出されてしまい、他の車に衝突されてしまう恐れもあるのです 」

何とも恐ろしい……。やはりいくら赤ちゃんが泣きわめこうとも、車の運転中にチャイルドシートを外すことは、あってはならないのだ。

しかしチャイルドシートを装着していれば安心かというと、一概にそうともいえない。実は警視庁とJAFの調査によると「チャイルドシートを正しく装着している割合」は、36.1%。つまり、3人に2人は間違った装着をしているというのだ。

間違った装着や着座の代表例を見てみよう。