一皿に南インドの家庭料理の真髄が盛られている

【南インド料理 葉菜hana】 左から「ダール」、続いてメインに選んだ「アヴィヤル」と「サグチキン」

続いて「ダール」(豆の料理)。

「野菜をココナッツで和えた『アヴィヤル』。今日はサツマイモ、パプリカ、タマネギ、セロリ、ニンジンを使いました」

シャキシャキ感のある野菜が舌に心地よい。

一番上が、ホウレン草のチキンカレー「サグチキン」。

ややスパイシーで、ホウレン草の甘みが口中に広がるチキンカレーだ。

中央が「ポンニライス」。

パラパラしているので、カレーやダール、サンバルなどをかけるとおいしく食べられる。

【南インド料理 葉菜hana】 コンロは厨房の一番奥。今回鍋をふる吉田シェフをはじめて見ることができた

カレーも含め、いろいろな副菜が盛られているが、食べ方に決まりがあるのだろうか。

「まったくありません(笑)。いろいろ混ぜて好みの味を作ってください。ライスとラッサムとサンバルはおかわりができます」

カトラリーもそろっているが、手で食べる人もいるという。

【南インド料理 葉菜hana】

2009年の創業以来15年間、南インドの家庭料理をベースにした料理を提供してきた。

いまでこそ南インド料理店は増えているが、創業当時は極めて珍しい存在だった。

【南インド料理 葉菜hana】 『南インド料理 葉菜hana』のオーナーシェフ、吉田哲平さん

開業にあたり、吉田シェフに影響を与えた人がいる。

大森にある「ケララの風モーニング」のオーナーシェフ、沼尻匡彦さんだ。

2007年頃はじめて食べた南インド料理が、沼尻さんの料理だった。

「重たい料理だろうと思っていましたが、さっぱり味でおいしかったです」

野菜中心の料理だったものの、満足感を得られたことに驚かされた。

ヘルシーブームが高まっていた時代だった。

南インド料理のレジェンド、アンディさんとの出会い

まだあまり知られていなかった南インド料理は、今後注目されるのではないか。

そんな予感もあり、沼尻さんの料理指南を受け、葉菜をオープン。

【南インド料理 葉菜hana】 インド渡航歴は計6回。初回こそ食べ歩きの旅だったが、それ以降はアンディさんに会うのが旅の目的

開業直後、吉田シェフに多大な影響を受けた人がいる。

南インド出身の料理人、アンディさんだ。

「知り合ってから、アンディさんが凄い経歴の持ち主であることがわかりました」

インドのチェンナイにある5つ星の高級ホテル「タージコロマンデル」で料理修業をスタート。

来日後、千代田区の有名な老舗インド料理店で南インド料理を作っていた時期もある。

数か月間葉菜で働いてもらい、アンディさんに南インド料理を指導してもらった。

【南インド料理 葉菜hana】 インドのお父さんと呼ぶアンディさんの家で撮ったツーショット

「僕の家に住んでもらったこともあります。僕はアンディさんをインドのお父さんと呼び、アンディさんは僕を息子と呼んでくれます」

帰国したアンディさんの家を5回訪問。滞在中は、アンディさんの家の台所で2人で料理を作ってきた。

アンディさんの家へ行くときは葉菜のスタッフもいっしょだ。アンディさんの料理を食べたスタッフに、シェフの味に似ていると言われることがあるという。

「アンディさんは、日本における南インド料理のレジェンド。アンディさんの料理に、僕のが似ていると言われると嬉しいです」