筋肉量が減少する → ウソ!

糖質制限をすると、脂肪をエネルギー源にタンパク質からブドウ糖を合成する “糖新生” が働いている時間が長くなるため、タンパク質でできている筋肉が減るのではないか、という憶測があります。

しかしながら、糖質制限による糖尿病治療の第一人者である高雄病院・江部康二医師は、「糖質制限食で、筋力低下や骨粗鬆症を生じるというエビデンスは存在しません」と表明しています。また、危険性がない根拠として、

・米国糖尿病学会、英国糖尿病学会で選択肢として受容されている
・スウェーデン社会保険庁で公的に認められている
・スーパー糖質制限食より更に厳しい糖質制限をするケトン食が、難治性小児てんかんの治療食として、『2010年版COCHRANE LIBRARLY』『2011年版NICE(英国政府ガイドライン)』という国際的に有名な公的治療ガイドラインで採用されている

という点をあげています。つまり、危険があれば治療法として採用されないはずだ、という理屈です。

もちろん「エビデンスがない」というだけでは、今後何かしらエビデンスが出てくる可能性を否定できません。

そこで私も、糖質制限をするにあたって、体組成計で計測していました。結果は、運動らしい運動をしない3ヶ月間の糖質制限で、筋肉量はまったく減りませんでした。トータルで5kg以上体重が落ちましたが、脂肪だけが燃焼されて減ったということになります。

私自身、「糖質制限をして筋肉が減った」という話をちらほら聞くのですが、ほとんどは数字的な裏付けがありません。おそらくは、筋肉内脂肪が落ちて腕などが細くなったのを、見た目だけで「筋肉量が落ちた」と判断したのではないでしょうか。私自身、腕などが一回り細くなった気はしましたが、体組成計で計測すれば量は変わっていない事実がわかりました。

あるいは、トータルで10kg20kgと体重が落ちたケースでは、そもそも日常生活に必要な筋肉量が減るため、自然に減少するケースはあるかもしれません。私自身、たった5kg減っただけで、はっきりわかるほど体が軽くなりました。現在は運動を再開していますが、30分走るだけで息も絶え絶えだったのが、今では1時間でも余裕です。10kg20kg減れば、体の負担は信じられないほど軽くなるでしょう。

また、筋肉量が減った数字的な裏付けがある場合ですが、今までに私が目にしたケースはすべて、糖質制限と同時に、エネルギー摂取制限もしていました。これはつまり、必要な栄養を摂取していない栄養失調状態であるわけで、たとえ筋肉量が減ったとしても、これでは何ら不思議ではありません。もし「筋肉量が減った」というケースを見かけたら、食事内容にも注目してみてください。

 

口臭や体臭が強くなる → ホント!

耳慣れない言葉ですが、人体は “ケトン体” というエネルギー源を日常的に活用しています。いきなり極端な糖質制限をすると、このケトン体の血中濃度が高くなり、呼気や尿にアセトンが排出されるケースがあります。

このアセトンの臭いが、ときに「糖質制限をすると口臭や体臭が臭くなる」と言われる正体です。

アセトンは、体が糖質制限状態に適応するにしたがい、数ヶ月から半年ほどで排出されなくなります。放っておけば、自然に消えてなくなるというわけです。

とはいえ、会社勤めや、接客業務など、口臭や体臭が気になっては困るケースもあるでしょう。心配な場合は、ゆるい糖質制限から始めて、体調を見ながら徐々に制限を強めていけば問題ないはずです。

私は、最初の1ヶ月半はゆるい制限からスタートし、3ヶ月経った現在では三食とも糖質を主食から外していますが、アセトン臭は発生していません。