ワクチン代の10倍かかる送料への批判
エコキャップ運動のためにキャップを集めている家庭では、通常どこかの施設の回収容器に入れに行くことが多いと思う。
キャップの回収容器、これは有償で運動の協賛者が買う。そして集まったキャップを送るのも自己負担だ。納入先(全国のリサイクル事業者)のラベルが貼ってある袋(約2400個・約6kgのキャップを収納・送料込み500円)を買う仕組みである。
協賛の企業や自治体・個人は全国で約65,000件。横浜市立小学校344校のうち254校が参加している。
行政でもプラスチック製容器包装として回収しているのに、別の物流でCO2を排出することが環境破壊になるという指摘もある。が、協会が全国に個別のトラックを走らせているわけではなく、低価格の送料で大手運送会社が協力をしているようだ。
また、リサイクルは全般的にCO2排出が増えるのではと聞くと、「再生ペレットの製造工程で出るCO2量は、石油原料から作るバージンペレットの4分の1というデータが5月末に発表されたんですよ」と業界新聞を見せてくれた。
「それでも、120円のワクチン代のために1,000円の送料がかかるのは事実。それならワクチン代1,000円を直接ユニセフや赤十字に納めればいいという批判はありますよ」。永田さんもそれは承知のようだ。
「でもそれは価値観の問題と思いますね」と永田さん。ワクチンがないが為に命を落とす子どものために、誰もが1,000円2,000円をポンと出せている現実はあるのか、ということだ。
ペットボトル生産数、年間250億本に比べ、エコキャップ運動で回収できる数は1割にもならない。
「捨てるのはもったいないから資源としてリサイクルしようというのが始まりで、ワクチン代を作るための活動ではない」と永田さんは強調する。
お金を出してでも買いたい廃プラスチックとは
ところで、キニナル投稿にもあった買取り価格が安過ぎるという点。エコキャップ運動の側からすれば15.8円/kgという“売値”は安過ぎるのだろうか。
それには、2種の廃プラスチックがたどる真逆の道を知る必要がある。(日本容器包装リサイクル協会談)
(1) ペットボトル
回収し売ることで、自治体の収入になる。(平成23年度の価格は50円/kg)
単品なので資源価値が非常に高い。リサイクル事業者にとっては「お金を払ってでも買いたい」対象。
(2)プラスチック製容器包装
自治体の税金を使ってリサイクルされる。50円/kgの出費となる。
中間処理施設で混入異物の除去・選別を行なった後、リサイクル事業者へ。
エコキャップ運動を利用しなかった場合、ペットボトルのキャップは(2)で処理される。ところが、品質としては、大手自動車メーカーの車両バンパーに再利用されるほどクオリティが高いという。(2)で処理されてしまうところを、15.8円/kgを払ってでも入手できれば、リサイクル事業者にとっては非常におトクということだ。
永田さんも「リサイクル事業者が15.8円/kgで仕入れたあと、粉砕したチップやペレットにした物を100円/kgで売っているかもしれない。そこはわかりませんよ」と語る。
提携のリサイクル事業者だけに膨大な利益をもたらし過ぎではないか、その価格は“適正”と言えるのか、指摘されるところだろう。これに対し永田さんは「提携している事業者の数は把握しきれないほど多く、理事が参加を斡旋することはない」と述べる。