MORRIE:端的にいうと、人生100年とはいかないにしても、半世紀という区切りを越えると、人生、逆算になるんですよ。それは僕だけじゃない。あなたくらいだと、突然事故にあったり、殺されたりしないかぎりは死なないし、普通に生きていたら、漠然とした形の未来を考えるでしょ?

Creature Creature 撮影・大島康一

――そうですね。

MORRIE:これは相対的なものだけれども、半世紀という区切りを越えると、この世の人生を終点から見て、残りの人生をどうするかという逆転が起きるんですよ。

この世の唯物的な「肉体」の話。いつかは肉体は朽ちてなくなる。そうなってくると、人生は逆算。あとどのくらいアルバムを作って、どのくらいライブが、どんなことができるのか。「この世の終わらせ方」を考えている、肉体は有限なんでね。

基本的に歌うことは肉体労働ですから(笑)。楽なことはやっていないので、肉体には限界は見えてくる。僕の主観的にはまだ大丈夫ですけど、この先、生きるということは「老いる」ということなので、それが徐々に現れてくるだろう。だからこそ、いかに人生を終わらせていくかを考えるようになった。

あれしたい、これしたいとかではなく、ひとつのことに集中したい。その気持ちが強くなったということです。

――それがCreature Creatureを「休眠」させた理由だと。

MORRIE:過去にもDEAD END、Creature Creature、ソロと同時進行していた時期もあったし、できないことはないんですけど。今は絞って、ひとつのことに集中したい。明日死んでもいいという想いは昔からあるけれど、それをさらにリアルに感じるようになりましたね。『Death Is A Flower』という集大成的なアルバムも出来たし、ツアーもして、12という数字の区切りもいいし、「休眠」させようかと。

――ライブ当日も、ダブルアンコールまで完全燃焼で、メンバーの方もやり尽くしたという表情をしていたように思います。

MORRIE:そうですね、3時間以上やったのかな。前半は原因不明のトラブルやミスが続出してどうしようかなと思ったけど。ああいう時はいろんな人の念もこもるし、色々起こるんですよ。

――ライブを終えての感慨みたいなのもはありますか。

MORRIE:感慨ですか? まだそれはないですね。意外にあっけらかんとしてる。「感慨」なら、やってるときはありました。一応「最後」なんで、ステージ上ではしみじみした瞬間はありましたね。終わってからは……、アンコールが締まって良かったというか、ある種の最後の落とし前的なものはつけられたかな。

――さきほどおっしゃっていた「ひとつに集中する」というお話ですが、今後の活動形態はバンド、あるいはソロですか?

MORRIE:ソロですね。

MORRIE(Vo) 撮影・大島康一

――今後、しばらくソロに注力すると。3月のライブでは、ソロアルバムも製作中とのことでしたが……。

MORRIE:青木(裕)くんの代わりを探す気はまったくないです。いないんで。ジミヘンくらい呼んでこないとね(笑)。

僕の中では彼はジミヘンと同じタイプで、彼ならではの本当にユニークな……、いろんな言い方ができるけど、僕にとっては彼のギターは、ギターじゃないんですよ。彼のサウンド自体がエネルギー体というか。「上手」とか「綺麗」じゃないんです。よく言うじゃないですか、「チョーキング一発で決まる」って。そういうのはすごく重要で。

もちろん、テクニカルなことではあるんですけど、そうじゃない部分でもある。青木裕は僕にとってその塊のような人。後任のギタリストが見つかっても、スタイルは全く違う人だと思う。

ソロだし、いろんな人とセッションできればいいんですけど、僕はそういうタイプではないので、コンスタントにできるギタリストを探してはいますね。

――9月には『MORRIE the UNIVERSE “SOLITUDE“』 もありますし、11月18日・19日に咲人さん、人時さん、TOKIEさん、絵野匡史さんを迎えた"SPECTRAL ATTACK"と称したライブが開催されますが、当面はソロという形を選択していくと。

MORRIE:自分は別に不器用な方ではないし、色々出来るとは思うんですけど、今は自分のやりたいことがさらに明確になってきてるので、それに全てを注ぎ込みたい。そういう意味では不器用になっていってるのかもしれないね。

――その“不器用さ"も、ある種楽しんでいるようにも見えます。

MORRIE:僕がよく言う、「存在」や、自分が自分であるところのこの「私」や、常にそうでしかない「今ここ」の境地から見ると、見ること聴くこと、感じること、あらゆる現象が等価。そこからすると、あらゆることが「楽しい」。何をしようが幸せなんですよ。だから、例えば、音楽をやることはもちろん幸せとしても、自殺するとしても幸せだし、死にたいときにすっと死ねたらいいですね。