3)結婚・子育て資金の一括贈与
こちらは20歳を過ぎてから使える仕組みですが、結婚資金や子育て資金について一括でお金を贈与する特例があります。
20歳から50歳までの人の名義の口座に対し、ジジババが結婚や子育て資金の目的としてお金を贈与すると非課税となるものです。金額は上限で1000万円まで非課税でお金を受け取ることができます。結婚に使えるお金は300万円までです。
結婚については、挙式費用、転居費用、新居の準備費用などに使えます。
妊娠・出産・育児に関する費用としては、不妊治療の費用、妊娠と出産に係る費用、産後ケア費用、子の医療費や子の保育費(ベビーシッター費用も可)に利用することができます。
受け取る側の年齢が20歳以上であるため、「孫に」というよりは「子(つまりパパママ世代)に」お金を移して、孫のために使うということが多いかと思います。
なお期間中にジジババが亡くなった場合は、残高については相続財産として扱われます。受け取った側が50歳になっても使い残しているお金も同様です。
こちらも2019年3月までに口座開設してお金を入金しなければなりません。延長されるかは現在未定です。
4)ジュニアNISA
未成年の名義でNISA(少額投資非課税制度)の口座を開設することもできます。これをジュニアNISAといいます。本来20歳以上の人しか作れないNISAについて未成年でも開設できるのが特徴です。
こちらは毎年80万円の範囲でNISA対象商品(株式や投資信託等)を購入すると、運用益が非課税となります。運用や親や祖父母が代理で行うことが認められます。
非課税期間は投資をした年から数えて5年目の年末までです。現在2023年までは制度が継続することが決まっています。ただし、子どもが18歳以上にならないと解約して受け取ることができませんので、制約は厳しめですし、この年齢制限では大学の学費に使えても高校の学費等には使えません。
また、NISAは基本的に投資商品(投資信託や株式)しか購入できないため、定期預金で安全確実にとはいかないことに注意が必要です。
使い方としては、毎年定期的な贈与を、ジュニアNISAに入金することで、非課税の範囲で贈与していることを証明しつつ、投資を行いお金を少しでも増やし、受け取り時期をできるだけ遅らせる方法で使うことになるでしょう。
こうした税制優遇を利用するときの注意点
いくつかの制度を紹介してきましたが、贈与の非課税を得る場合、一定の条件が課せられています。
一方で、子育て(孫育て)の費用のためなら、手厚い税制優遇を講じていることも分かるかと思います。
パパママ世代に1000万円、子ども世代にひとり1500万円の贈与を満額受け、ひとり毎年110万円ずつ贈与されたとしたら、おそらく子育て費用の問題はほとんど解消されるでしょう(全額もらえることは、まずないでしょうが)。
まだ元気なジジババから早めにお金をもらう、というのが生前贈与の難しいところですが、余裕のある範囲で制度を活用してもらえるのなら、お願いしてみるのもいいと思います。
孫がかわいくてしょうがない(しかも財布は分厚い)ジジババに、一度相談してみてはどうでしょうか。
なお、ここでは一般的な法制度の解説を行っています。税金がからむ問題については税務署と確認をして相談履歴をメモとして残しておいたり、税理士のアドバイスを受けておくことを強くオススメします。
<参照>
国税庁HP「贈与税の計算と税率」
文部科学省HP「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」
財務省HP「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」
金融庁HP「ジュニアNISAの概要」