まさに究極のクリエイティブタブレット、ワコムの「Cintiq Companion」

2015.6.3 19:47配信
Cintiq Companion 2

クリエイター向けの究極のPC、それがワコムの「Cintiq Companion」シリーズだ。一見して普通のタブレット端末のように見えるが、クリエイター向けにつくられた高機能、高性能を備える究極の一台なのだ。

タブレット端末が普及し始めた頃、PCとタブレット端末の違いについて、「PCはつくるデバイス(生産型)、タブレット端末は見るデバイス(消費型)」と区分された。ところが「Cintiq Companion」は、タブレット端末でありながら、究極の生産型デバイスといえる。

「Cintiq Companion」シリーズの初代モデルは、2013年9月下旬に発売された。液晶ペンタブレット「Cintiq 13HD」の機能をベースに、指で操作できるタッチ操作性能と、モバイルタブレット端末に必要な通信機能を搭載。液晶ペンタブレットとタブレット端末が融合したデバイスだ。

そもそも「Cintiq Companion」を開発、販売しているワコムはPCメーカーでもタブレット端末メーカーでもない。ペンタブレットのメーカーだ。ペンタブレットとは、マウスのようにPCに接続して使う入力機器。専用の電子ペンを位置を、本体である板状のタブレットが読み取ってペンの位置や動きの情報をPCに送る。これによって、紙やペンを使うのと同じ感覚で絵や字を書くことができる。

ペンタブレットは、表面が単に「板」だけのペンタブレットと、液晶画面に直接書き込む感覚の「液晶ペンタブレット」がある。液晶ペンタブレットは、画面に表示されたキャンバスに絵や字を直接書けるので、より直感的な操作が可能だ。ワコムでは、板状のペンタブレットを「Intuos」シリーズ、液晶ペンタブレットを「Cintiq」シリーズと分けている。

このペンタブレット市場で、ワコムは販売台数シェア9割以上という高いシェアを獲得している。家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」で、カテゴリ別で年間販売台数1位のメーカーを表彰する「BCN AWARD」では、16年連続でNo.1を受賞しているほどだ。

●液晶ペンタブレット「Cintiq」を外に持ち出す

「Cintiq Companion」は液晶ペンタブレット「Cintiq」にOSや、バッテリ、入力端子などを追加した、スタンドアローンで使えるペンタブレットといえる。では、スタンドアローンで使えるペンタブレットをなぜ開発したのだろうか。ワコムの製品開発部に話を聞いた。

ブランド製品事業本部 製品開発本部 製品設計部 開発マネジメントGr.の坂本裕介氏は、まずペンタブレットを取り囲む環境について説明してくれた。「ペンタブレットを使う、デザイナーやクリエイターは、デザイン事務所で作業をしている。データは社内サーバーに置き、LANでスタッフが共有している。そのため、外出先で作業をすることができなかった。ところがここ最近は、クラウドサービスが普及し、これまで社内サーバーに保存していたデータをクラウドにアップロードし、外出先でも共有できるようになった。すると、自宅や外出先でもインターネット環境があればデータにアクセスできる。そこで持ち出せるペンタブレットが求められるようになった」。

持ち出すことができるペンタブレットとはいえ、「Cintiq」の廉価版とするわけにはいかない。坂本氏は「『Cintiq』を崩さないのが大前提。『Cintiq』の性能をキープしたまま、モバイル性能、PCの性能を付与した。モバイル性能として、持ち運びができるサイズ、重さ、バッテリ駆動時間の長さ、そしてペンタブレットは前屈みになってタブレットに体重をかけて作業する人が多いので、それに耐えられる強度を、PC性能としてグラフィックソフトが快適に動作する環境を盛り込んだ」と話す。

「Cintiq」のフル機能と性能、モバイル性能、PC性能、この全てを盛り込み、成り立たせるために、実に1年もの開発期間が必要だったという。「PCをつくるのは初めてではあったが、動くレベルのものは比較的早い段階でできていた。ただ、そこから仕上げるのに時間がかかった。ペンの性能を確かめ、外観の隙間を埋め、ショートカットボタンの感触を高め……。とにかく完成度を高めていくのが一番時間がかかったし、苦労した」と坂本氏は話す。

●店頭で売りたい 販売店からの熱烈なラブコール

ペンタブレットメーカーとしての技術力を注ぎ込んで「Cintiq Companion」が完成した。販売チャンネルは直販サイト「ワコムストア」限定だったが、ユーザーや販売店から店頭で販売してほしい、という多数の問い合わせがあったという。

ブランド製品事業本部 製品開発本部 製品設計部 ME Gr.の野村 優氏は「うちの店で販売したい、どうしたら販売できるか、というありがたい問い合わせが多数あった。しかし、PCを初めて販売するため、サポート体制に不安があり、店頭展開ができなかった」と悔しさをにじませる。

「Cintiq Companion」発売から約1年半後、2015年2月に後継機である「Cintiq Companion2」を発売した。「Cintiq」シリーズの魂はそのまま引き継ぎながら、筐体を改良した。坂本氏は「『Cintiq Companion』は難しい構造で量産が難しかったが『Cintiq Companion2』は量産を見越し、行程を改良した。さらに『Cintiq Companion』は外側をアルミのプレス、内側がマグネシムのダイキャストと2層構造だったが、『Cintiq Companion2』はアルミのダイキャストの一発物に変更した」と説明し、強度を保ちながらも軽量化を実現した。

さらに、「Cintiq Companion」の販売経験を生かし、サポート体制を万全にして念願の店頭展開を開始。野村氏は「2月に発売したが、最初の1か月は品切れ状態だった」と反響の高さを語った。

売れ行きやユーザーからの反応は上々だったが、ワコムの開発陣はまだ満足していない。坂本氏は「ユーザーの要求は高く、いまある技術を突き詰めていくだけでは足りない。新たな機能を追求していき、クリエイターが100%満足できるように今後も開発を進めていく」と決意を語った。

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