突然ですが皆様、「失恋」ってとてもとても……つらいですよね?
世界が終わったかのように、景色がモノクロームに見え始め、もう明日から生きていけない、ごはんも食べられない、仕事も学校も行きたくない、生きている意味がわからない! と、地獄に落とされたかのような気持ちになりますよね……。

今回は、失恋した時、少し気持ちが落ち着いた頃に、ぜひ読んで頂きたい本を4冊、ご紹介したいと思います。登場人物が全員ふられる物語から、結婚式直前に婚約破棄される女性のお話など、様々な本をご紹介いたします。
読み終わったら少しだけ、元気を取り戻せるかもしれません。

共感度120%! 大丈夫、みんなふられます。

個人的な話で恐縮ですが、筆者が失恋した時に一番見たくなかったものは、街でイチャイチャしているカップルや、SNSで「彼氏と海に行きましたー!」など、わざわざ報告するリア充な人たち(※自分の恋愛が順調な時、筆者も同じことをやっていたので人のことは言えないのですが……)美男と美女がなんやかんやありつつも、ハッピーエンドを迎える少女漫画や小説でした。

他人の幸せを一緒に喜べるほどの余裕がなく、気力もなかった。だから、そんな時はとにかく「不幸な人」が出てくるお話を読んでいました。イヤな奴ですね……。
というわけで、まずご紹介したい本は、角田光代さんの『くまちゃん』(新潮文庫)という小説です。

『くまちゃん』は、主人公が入れ替わっていく、連作短編「ふられ」小説です。第一話で主人公をふった彼が、第二話ではふられる側に周り、その彼をふった彼女が、第三話の主人公となりまたふられ……と、主人公となった人が、全員見事にふられるお話です。
切ないけれど、誰も彼もが上手く行かない恋を、一度や二度は経験していることがわかるので、読後は、少し冷静さが取り戻せるかもしれません。

このお話は、人生最大級の偶然に賭け、憧れのバンドマンに接近した「ゆりえ」や、舞台女優の夢を捨て、有名画家との結婚を虎視眈々と狙う「希麻子」たちが登場します。
登場するのは、20代の前半から30代半ばまでの大人たちですが、み~んな、これまでの「ぱっとしない毎日」を、誰かと交際することによって一変させようとしていました。
その結果「あと一歩で上手く行きそう!」という事態になっても、最後にはあっけなく終わってしまうという結末を迎えます。

つまらない毎日を本当の意味で楽しくできるのは、結局は恋人ではなく、自分しだいなのだな……と、教えてくれる物語でもあります。