女性が「隠れ下肢静脈瘤」になりやすい理由

これに対し長江先生は、隠れ下肢静脈瘤について、「下肢静脈機能が低下していても、一見すると何の病変もないような状態」と定義しています。

皮膚の表面からはわからないため厄介ですが、実際には表在静脈などの機能低下や、筋肉内部を流れる静脈が逆流する機能低下などが起こり、下肢静脈瘤と同じような症状が見られるのだそう。

さらに怖いのは、リンパの流れの機能低下が併存すると、むくみの症状も起こりやすくなるということ。皮膚症状は現れず、重度のむくみや脚のだるさなどの症状が目立つため「普段のむくみがひどくなったのかな」と放置する人も少なくありません。

「隠れ下肢静脈瘤だと気づかずに対処しないでいると、長期間の静脈うっ滞から、エコノミー症候群の原因となる深部静脈血栓症(足に血栓ができてが急に腫れて痛む症状)のリスクも出てきてしまいます」(長江先生)

でも、下肢静脈瘤って年齢層が高めの人の病気では? なんて思う方も多そうですが、長江先
生は「調査結果を年代別に見ると、20代では 16.4%、30代では 14.9%、40代では 14.4%と若い人でも隠れ下肢静脈瘤の疑われる割合は高いです。実際に若い患者さんも病院を訪れますし、生活習慣次第で若くてもその可能性は十分にあり得ます」と話します。

そもそも女性は、男性と比べて筋肉量が少なく筋ポンプ作用が働きにくかったり、女性ホルモンの影響で生理中は血管が広がり、尿の量も減るため、普段よりも体内に水分が貯まりやすくなったりすることから、隠れ下肢静脈瘤になりやすい性質があるのだそう。

「また、加齢によって静脈機能が低下した人、足に静水圧がかかりっぱなしになり、静脈血管が上昇しやすくなる長時間のデスクワーク、立ち仕事をしている人、家族に静脈瘤のある人などがかかりやすいと言えます」(長江先生)