Android端末での「楽天アプリ市場」ホーム画面

楽天は8月19日、Android向けのアプリストア「楽天アプリ市場」のサービスを開始した。ユーザーに対しては、アプリ購入時に10%分の楽天スーパーポイントを付与する。楽天スーパーポイントでアプリやアプリ内のアイテムを購入することもできるのも特徴。アプリのセキュリティチェックはトレンドマイクロの技術を使用する。アプリの提供者から楽天側が徴収する手数料に関しては、ポイント相当分を含め25%とし、現在の大手3社の30%より5%低く設定。まずは、181社が提供する393タイトルのアプリでスタートした。

サービス発表会で楽天の島田亨 代表取締役副社長執行役員は「Androidのアプリ市場は急激に伸びている。2018年には1兆円と2015年比で約2倍に成長する見込みだ。しかし、現在のアプリ市場は、上位10アプリで売り上げの約半分を占める寡占市場であり、この状況を変えていきたい」と語る。販売手数料に関しては、現在の大手3社(Apple、Google、マイクロソフト)が料率を30%としているところ、25%に設定。「楽天は15%にとどめ、ユーザーにポイントで10%を還元することで市場を活性化したい」(同)と楽天ならではの戦略を展開する。

1年前に企画から始めやっとサービスインにこぎ着けたという、楽天マーケティングジャパン事業 アプリ市場事業部の栗原祐一郎 部長は、「楽天のキャンペーン、楽天スーパーポイントの活用、安心なセキュリティの三つがサービスの特長。楽天スーパーポイントが利用できるため、有料アプリ購入でも抵抗が少ないのでは」とポイントを活用した市場活性化の狙い語った。また「楽天モバイルサービスの立ち上げも追い風」として、楽天モバイルで提供する前端末に「楽天アプリ市場」のアプリをプリインストールする予定であることも明らかにした。

アプリのセキュリティを守るのはトレンドマイクロの「Trend Micro Mobile App Reputation(MAR)」。発表会にゲストとして招かれた同社の執行役員 グローバルコンシューママーケティングの吉田健史 統括部長は「すべのアプリをチェックした後にストアに掲載されるため安全。また月1回無料で端末にインストールされたアプリの安全性をチェックするサービスも提供する」と語った。

「楽天アプリ市場」アプリは、楽天サイトからダウンロードしてインストールする必要があるが、Google Playが提供するアプリではない。そのため、端末のセキュリティ設定で「提供元がPlayストアではないアプリのインストールを許可する」をONにしなければならない。同じく「楽天アプリ市場」からアプリをダウンロードし、インストールする際にも同様の設定にしておく必要がある。発表会ではこの点が脆弱性につながらないかと問題視する質問も飛び出した。これについて島田代表取締役は「運用しながらモニタリングして必要に応じて対応策を講じていく」と語った。

トークセッションに登場した南明菜さんは「アプリをどんどん入れて使うのは当たり前の時代。数えたら、自分のスマホにはアプリが52も入っていた。育成ゲームや電車の乗り継ぎアプリをよく使う。楽天アプリ市場では、写真加工やムービーのアプリを増やしてほしい」と注文を付けた。アプリのジャンルや数を増やすこと、セキュリティをさらに固めることなど、課題はまだまだ少なくない。しかし、「楽天経済圏」のパワーをバックにサードパーティーのアプリストアが、どこまで成功できるのか、「楽天アプリ市場」は一つの試金石になりそうだ。