下り最大40Mbps超のモバイルWi-Fiルータ、「速さ」と「安さ」で選ぶならどれ?

2012.3.26 19:58配信
左から、実機テストに使用したドコモの「L-09C」、ソフトバンクモバイルの「ULTRA WiFi 4G SoftBank 101SI」、auの「Wi-Fi WALKER DATA08W」

スマートフォンやタブレット端末、ノートPCなど、複数の無線LAN(Wi-Fi)対応機器を同時に接続できるモバイルWi-Fiルータに代表されるデータ通信端末。最近は、下り最大40Mbps以上の高速データ通信対応モデルが9割前後を占め、いち早く高速通信規格にシフトした。今回は、主に手持ちのスマートフォンを「より速く、より快適に」使いたいと思っているユーザー向けに、携帯電話の主要3キャリア、NTTドコモ・au・ソフトバンクモバイルが提供している高速データ通信サービス「Xi(クロッシィ)」「WiMAX」「SoftBank 4G」を、「速さ」と「料金」を中心に比較した。

●拡大するデータ通信端末、モバイルWi-Fiルータがほぼ9割に

まずは簡単に、データ通信端末の販売動向を振り返ろう。2009年2月のデータ通信端末の販売台数を1とすると、2010年7月に第一のピークを迎えた後、いったん下がった時期もあったが、ここにきて再び拡大傾向にある。2011年12月、2012年1月の販売台数は、前年比120%台前半、2012年2月も同132.8%と好調だ。以前は、PC向けのUSB接続やカード接続タイプが主流だったが、2009年11月以降、カバンなどに入れた本体から無線LANの電波を飛ばして通信するモバイルWi-Fiルータの比率が徐々に高まり、2010年6月には59.8%と、約6割に達した。月によって上下しながら、その後も伸び続け、2012年1月には9割を超えた。2月もほぼ同水準の89.9%。今や、データ通信端末といえば、ほとんどがモバイルWi-Fiルータになっている。

きっかけは、2009年11月にイー・モバイル(現イー・アクセス)が発売した「Pocket WiFi」シリーズ。「○○とセットで0円」「同時加入で○円引き」など、回線契約と引き替えに対象製品の価格を大幅に値引く戦略が当たり、販売台数が積み上がっていった。同時に、モバイルWi-Fiルータのメリットが知られるようになり、最近は、モバイルWi-Fiルータ同様、1台で複数のWi-Fi対応機器を同時にインターネットに接続できるテザリング機能を搭載するスマートフォン・タブレット端末が増えている。

●「下り最大40Mbps」以上が約95% 1年足らずで様変わり

データ通信端末の通信規格は、1年足らずの間に、「Xi」や「WiMAX」「ULTRA SPEED」「SoftBank 4G」など、下り最大40Mbps以上の次世代高速通信規格に切り替わった。下りの最大通信速度帯ごとの販売台数構成比を集計すると、2010年1月時点で14.2%、1年前の2011年2月でも39.4%に過ぎなかった「40Mbps以上」は、2012年2月には94.6%に達し、いまや完全に主流になっている。2011年7月に初めて5割を超えてから9割に達するまで、わずか3か月という驚異的なスピードだ。

ただ、同じ「40Mbps以上」といっても、提供するキャリア、サービスによって、最大通信速度や対応エリアが異なり、正直なところ比較しにくい状況だ。

NTTドコモは、国内初のLTEサービス「Xi」を2010年12月24日に開始。およそ1年後の2011年秋からXi対応スマートフォン・タブレット端末を投入し、現在、エリア拡大を前倒しで進めている。KDDI(au)は、スマートフォン向けに、月額プラス500円で下り最大40Mbpsの「WiMAX」も使える高速通信サービス「+WiMAX」を提供している。2011年12月には、WiMAXとau(3G)の両方に対応し、エリアによって自動的に接続先を切り替えるモバイルWi-Fiルータ「Wi-Fi WALKER DATA08W」も発売した。ただ、KDDIの「WiMAX」は、UQコミュニケーションズの無線インフラを活用してKDDIが提供しているもので、別途「WiMAX」単独でも加入できることから、独自のLTEサービスを立ち上げるまでの“つなぎ”にみえないこともない。

ソフトバンクモバイルは、下り最大42Mbpsの「ULTRA SPEED」に加え、今年2月24日に下り最大110Mbpsの高速データ通信サービス「SoftBank 4G」を開始した。「SoftBank 4G」は、2.5GHz帯を使用する広帯域移動無線アクセスシステム「XGP」を高度化した「AXGP」を利用したもの。サービス開始と同時に発売したモバイルWi-Fiルータ「ULTRA WiFi 4G SoftBank 101SI」では、下り最大76Mbpsの速さで通信できる。

●通信速度と料金を比較、スマートフォンとのセットだと「SoftBank 4G」が最も安い

現在提供中の「Xi」「WiMAX」「SoftBank 4G」のうち、下りの最大通信速度(理論値)は、「SoftBank 4G」が最も速い。対応エリアは、サービス開始時期が早く、2012年1月に「全国実人口カバー1億人」を達成した「WiMAX」が最も広く、一歩リードしている。とはいえ、「SoftBank 4G」の対応機種は、WiMAXより速く(下り最大42Mbps)、全国の幅広いエリアに対応する「ULTRA SPEED」のエリアでも利用でき、「SoftBank 4G」と「ULTRA SPEED」を合わせれば、対応エリアは広いといえるだろう。同様に「Xi」対応機種も「FOMA」のエリア内で利用できるが、「FOMA」の通信速度(下り)は最大でも14Mbpsと遅く、「Xi」との差は大きい。いずれにしても、事前にウェブサイトやカタログで、自宅やよく行く場所の対応状況を確認し、納得したうえで購入・契約しよう。

続いて、月々の料金を比較しよう。端末本体の代金を抜いた、各種キャンペーン適用前の定額プランの通常料金は、約6500円~7000円と、ほとんど変わらない。現在実施中の各種キャンペーンを適用しても、「Xi」が若干安いものの、ほぼ横並びだ(2012年3月22日現在)。ただ、ドコモとソフトバンクモバイルは、それぞれ期間限定で、対象のスマートフォンと高速データ通信「Xi」「SoftBank 4G」の2回線の契約で料金を割り引くキャンペーンを実施しており、スマートフォンとのセット料金だと、モバイルWi-Fiルータ分の月々の料金は、月額3880円の「SoftBank 4G」が一番安い。

●都内主要5駅で通信速度を計測、5駅すべてで「SoftBank 4G」が最速!

さて、実際の速度はどうなのだろうか? 2月末の計測時点で、サービス開始前だったイー・アクセスの「EMOBILE LTE」を除く「Xi」「WiMAX」「SoftBank 4G」にそれぞれ対応する代表的なモバイルWi-Fiルータ「L-09C」「Wi-Fi WALKER DATA08W」「ULTRA WiFi 4G SoftBank 101SI」をお借りし、東京都内の山手線の主要5駅(東京・新宿・渋谷・恵比寿・池袋)のホームで、Wi-Fi環境の速度を計測する無料のiPhone向けアプリ「Speedtest」を利用して通信速度を測定した。計測結果は、全地点で「SoftBank 4G」が最も速く、全体的な傾向としては、理論値通りだったが、渋谷駅、池袋駅は「Xi」が「WiMAX」を上回った。

2012年は、本格的な高速データ通信サービス時代の幕開けであると同時に、さまざまなサービスが乱立し、選びにくい過渡期ともいえる。通信規格の変化のスピードを考えると、今年後半には、”高速”と判断する目安は、光ファイバー並みの「70Mbps以上」に切り替わるのは間違いない。結局のところ、最大2年、場合によってはそれより短い期間で、その時々のベストなサービスに乗り換えていく心づもりで選んだほうがいいかもしれない。

すでにスマートフォンを持っているユーザーが、別途モバイルWi-Fiルータを購入するメリットは、端末を買い替えずにいち早く高速データ通信サービスを利用できる点に尽きる。複数のWi-Fi対応機器を所有しているユーザーにとっては、回線を一つに集約して通信費を抑えられることに加え、キャリアに縛られず、好きなデータ通信サービスを利用できるというメリットもある。何よりも、「速さ」と「自由さ」を重視する人には、高速データ通信に対応するモバイルWi-Fiルータはベストな選択だろう。(BCN・嵯峨野 芙美)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。

いま人気の動画

     

人気記事ランキング