本を読むスピードが上がらず、なかなか積ん読を解消できない。速読術を身につけたいわけではないけれど、もう少し速く読めるようになりたい。インターネットコンテンツに慣れてしまい本を読めなくなった――そんな悩みを持つ人も多いのでは?

いま『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』がベストセラーになっています。それだけ自分の読書スタイルにモヤモヤしている人、改善したい人がいる、ということでしょう。

そこで今回、著者の印南敦史さんに読書へのマインドチェンジや、フロー・リーディングのエッセンスをインタビュー。速読術とはひと味違う「正しい流し読み」で、本と丁寧に向き合いながらも、速く読んでいく方法を学びます。

本は熟読しなくていい

今でこそ1日1〜2冊の本を読み、月間60本(!)のブックレビューを書く印南さん。1冊平均20〜30分で読了するそうですが、昔は1ページを読むのに5〜10分ほどかかっていた、と話します。

まさに書籍タイトルにある「遅読家」の一人だったわけですが、印南さんの内面でどんな意識改革があったのでしょうか。

「端的に言うと『本を読む=熟読しないといけない』といった呪縛にとらわれるのをやめました。本の中身をすべて頭に叩き込むことを前提とした読書だと、深く読み込もうとするあまり、ゆっくりじっくり読んでしまうことになります。

でも、普通の人は本を1回読んだくらいで、内容を完璧に記憶するなんてできませんよね。読書の真の価値は、たくさんの本を読んで、それぞれの中で“価値を感じるような1%”に出会うこと。その小さなかけらが集まってつながり合い、知識として大きく成長していくんです」

本はお金や時間などの各種コストをかけて読むものだからこそ、つい「元を取らないと」とケチな考えを持ってしまいがち……。それを思い切って捨て去るのが「熟読の呪縛」から自由になるための第一歩。その本を読んだことで、どんなに些細なことであっても、知識や発見が1つ頭に残っていれば良し、とするのです。

続いて、具体的なフロー・リーディングの方法を4つのポイントとして、教えていただきました。