5:言いたがらないときに口をこじあける
子どもでも、何か悪いことをしてしまったときは隠そうとしたり、「あちゃ~」という顔をしていたりしますよね。つまり、自覚があり、怒られるかもしれないと思っている状態です。
そんなときに親に「何をしたの!」「悪いことをしたんじゃない?」などと問い詰められたら、子どもは本当のことを言ったら怒られると思って、するりと嘘をつきます。
大川さんは、子どもが言いたくなさそうなことや、のらりくらりとはぐらかすようなことは、無理に口をあけようとはしないそうです。「きっと何かあるんだよね、話したくなったら教えてね」と伝え、しばらくそっとしておくのだとか。
無理やり口をこじあけても、子どもが考えを整理しないまま嘘をついたりはぐらかすだけ。自分なりに考え、自分のタイミングで反省することが大切ですね。
6:ウソを追い詰める
では、子どもがウソをついているとわかったときはどうしたらいいのでしょうか?
大川さんは、「あえて騙されてあげることが多い」と言います。
大川さんの園である女の子の靴の片方がなくなってしまい、「だれか知りませんか?」と呼びかけたとき。「ぼく探してきてあげる!」と男の子が見つけてきたそうですが、保育士さんたちはその男の子自身が隠していたことを知っていました。でも、「見つけてきてくれてありがとうね」と言って終わりにしたのです。
その男の子はやましい気持ちがあるから探しに行った。返さなきゃ、と心に引っかかっていたのです。
もし、真実をみんなの前で明かして「あなたが隠してたんでしょ!」「謝りなさい!」と責められたら……何かしてしまったときに本当のことを言えない子どもになってしまうかもしれません。
子どもがウソをついても、頭ごなしに叱らずに逃げ道を残してあげること。思い切って騙されてあげる度量も、親には必要です。
*
大川さんは一貫して、親も子も対等な人間である、と強調しています。子どもを子ども扱いせず、その人格を認め、大人と接するように子どもにも接すること。そのことを忘れなければ、子どもに信頼され、子どもとのコミュニケーションもうまくいく、と大川さんは語ります。
『92歳の現役保育士が伝えたい親子で幸せになる子育て』には、大川さんが「奇跡の保育園」で実践してきた、子どもがよく育つコツがより詳細に紹介されています。
子どもへの声かけに悩む方はぜひ一度手に取ってみてください。大川さんの温かい子ども目線に立った言葉の数々に、きっと肩の力を抜いて、子どもと対等なコミュニケーションを楽しめるようになりますよ。