さかなクンの初恋の魚は…

Q8:いまも、タコがいちばん好きですか?

A8:いまは、タコからだんだんお魚好きに広がっていきました。

タコももちろん継続して大好きなんですけど、初恋の魚はウマヅラハギです。あの顔の長さに惹かれました。その次がハコフグちゃんですね。

魚屋さんの水槽の中で、ブリや鯛にボーンとぶつかっても、へこたれずに泳いでいるハコフグちゃんの健気で強い姿を見て、自分もボーンとぶつかっても頑張らなきゃいけないなという勇気をいただいたので、それで頭にはハコフグと決めました。海洋生物にはいっぱい感動をいただいていますね。

いちばん好きな日本の水族館は…

Q9:食べる魚でいちばん好きなのは? いちばん好きな調理法は?

A9:お刺身かお寿司がやっぱり好きですね。

お刺身はそのお魚の持ち味や本当の美味しさ、栄養をストレートにいただくのにはいちばん適していますから。

もちろん塩焼きも美味しいですし、好きですけど、塩焼きですと、せっかくの栄養や脂がポタポタとけっこう落っこちちゃうんです。

ですので、お刺身じゃなければ、煮つけにして栄養が余すところなく溶け込んだ煮汁をご飯にかけて全部いただくか、あるいは栄養と旨味を衣で閉じ込めて油で揚げるのがいいですね。

だから、煮てよし、揚げてよし、干物にしても何にしても美味しいわけです。

Q10:いちばん好きな日本の水族館はどこですか?

A10:若いころに静岡県の三保にある「東海大学海洋科学博物館」で実習していたんですけど、ここはいまでも「汽車窓式」の展示をしていて、好きですね。

いまの水族館は水槽が巨大化していて、壁に小さい水槽が汽車の窓のように規則正しく埋め込まれた従来の展示スタイルはだんだん見られなくなりましたが、自分が幼いときに通っていたような歴史を保っている水族館が大好きです。

『ファインディング・ドリー』を観る子供たちにメッセージ

Q11:最後に、これから『ファインディング・ドリー』を観る子供たちにメッセージをお願いします。

A11:前作の『ファインディング・ニモ』では「弱肉強食」の海の厳しい現実が描かれていましたし、今回のダイオウイカが襲いかかってくるシーンなどを見ても分かるように、海は油断すると食べられちゃうとても危険な世界です。

『ファインディング・ドリー』でもお魚がそんな試練を乗り越えながら逞しく成長していく姿が描かれているわけですが、私たち人間も自然界の一員として、そのお魚ちゃんたちの尊い命をいただいているわけですよね。

この映画を観て、そのことに気づけると、感動がより深まると思います。

さすが、さかなクン! 豊富な知識と魚好きならではの愛で映画の見どころをハイテンション&ハイスピード、時には立ち上がって身振り手振りで語ってくれたけれど、さかなクンの言葉を思い出しながら『ファインディング・ドリー』を観ると、映画の面白さや感動も倍増。魚や海洋生物のことがもっともっと好きになるに違いない。

『ファインディング・ドリー』 7月16日(土) 全国ロードショー
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映画ライター。独自の輝きを放つ新進の女優と新しい才能を発見することに至福の喜びを感じている。キネマ旬報、日本映画magazine、T.東京ウォーカーなどで執筆。休みの日は温泉(特に秘湯)や銭湯、安くて美味しいレストラン、酒場を求めて旅に出ることが多い。店主やシェフと話すのも最近は楽しみ。