庵野秀明総監督『シン・ゴジラ』観客を試す、4つのメッセージ

7月29日の公開から全国で爆発的なヒットとなっている庵野秀明総監督の『シン・ゴジラ』。「本当に『シン・ゴジラ』は面白いの?」とお疑いの方たちに、見るべき奥深いポイントを解説しましょう。

©2016 TOHO CO.,LTD.©2016 TOHO CO.,LTD.

729日の公開から全国で爆発的なヒットとなっている庵野秀明総監督の『シン・ゴジラ』。

ギャレル・エドワードが2014年に発表したハリウッド版『ゴジラ』の興行収入と比較しても、初日から150%増を記録し、世界100ヵ国での上映も決まっています。

SNSでは、40~50代の男性を軸にした熱い書き込みが目立ち、往年のゴジラファンの期待を裏切らない内容となっています。

とはいえ、これまで実は『ゴジラ』シリーズは一度も見たことがないし、そもそも怪獣映画に興味がないという女性は少なくないと思われます。

庵野総監督にしても、「さくらん」や「働きマン」の原作者、安野モヨコ先生のパートナーということは知っていても、代表作である「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズにはまったくノータッチで生きてきた、そんな層でも「本当に『シン・ゴジラ』は面白いの?」とお疑いの方たちに、見るべきポイントを解説しましょう。

 1.『シン・ゴジラ』は、現実問題に即して作られている。

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 「シン・ゴジラ」は、1954年に制作された「ゴジラ」の設定を借りつつ、続編という立場ではなく、全く新しい世界観として制作されています。

東京湾・羽田沖の海ほたるに近いエリアで、激震が走り、海中トンネルに取り残される人々が発生。

何が原因かわからない中、総理大臣以下、閣僚が収集され、原因は何なのか、どう対応するのか、緊急会議が開かれるところから始まります。

庵野監督以下、スタッフはできる限りの人脈を使って現役の政治家や各庁の官僚、公務員などに綿密な取材を重ねたというだけあって、日本に何か起きた時、政治の舞台では何が起きて、どう決定されるのか、普段は国民の見えない、政治の裏側の駆け引きの様子が、相当、リアルに進行していきます。

ここで、興味深いのが、前代未聞の出来事が起きているのに、「前例がない」と言って、従来通りの事例にのっとって判断しようとする閣僚の姿がしつこいほど描かれること。

言うまでもなく、こういう閣僚は、我々が選挙で選んで、最終的にその座にいるわけですから、「あら、私の投票した人はこういうタイプではないよね?」と改めて、自分の選択を問い改める内容になっています。

大杉連が演じる内閣総理大臣は、可能な限り、多くの情報を収集し、意見を聞く、ものわかりのいいタイプの政治家として描かれていますが、ときにそれが、優柔不断で、判断の遅さに繋がるようにも解釈できます。

そこに厳しく、決断の有無を促すのが、余貴美子演じる防衛大臣。

かつて、防衛大臣を経験し、先日、東京都知事に就任した小池百合子氏の面影を重ねる方もいるかもしれませんが、閣僚の駆け引きがドラマの前半で展開します。

 2.「エヴァ」シリーズとの共通点……ゴジラ対策のキーマンは新世代

さて、庵野秀明監督の代表作といえば、アニメーション「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズです。

未見の方のために説明すると、これは東京に「セカンドインパクト」と後に命名される大災害が起きた後の世界(2015年)を舞台としていて、「使徒(シト)」と呼ばれる謎の生命体の襲来に対して、巨大な人型兵器「エヴァンゲリオン」のパイロットとして立ち向かうことになる14歳の少年少女たちの受難を描いたものです。

このドラマでは、大人たち自身が混乱し、14歳というティーンエイジャーたちの力を頼らざるを得ない状況に陥っておりますが、『シン・ゴジラ』でも、緊急時代に際して、思考停止状態となった旧世代の使えなさに危機感を募らせ、ゴジラ対策のキーマンとして、新世代が立ち上がる構図となっています。

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長谷川博己はそのリーダーとなる政治家、矢口蘭堂を演じていますが、彼はその役柄を「30代後半で内閣官房副長官というポジションに就いているのは、現実には異例の出世で、当然、周りからいろいろと面白くない目で見られています」と分析しますが、映画の中では、誰よりも人を「守る」ということに最も敏感で、なおかつ、責任を負う覚悟のある人として描かれています。

その一方、頭の回転が速く、切れ者すぎるがゆえに、凡人の判断の遅さにイライラとし、硬直した政治状況にいら立ちを隠せない感情的な面も度々、発露します。

庵野監督は「矢口は突っ走っていくタイプで、いつも『なぜだ、こうすればいいじゃないか』といらだつが、その分、視野が狭く、幼い部分がある」と語っています。

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その矢口とのやり取りにおいて、「常に矢口をなだめすかしてくれ」と演出したというのが、竹野内豊演じる内閣総理大臣補佐官の赤坂秀樹です。

庵野監督は赤坂の人物像を「常に冷静に状況を見て分析し、本音と建て前を使い分けて行動する、真の意味での大人である」と語っています。

本作には328人もの登場人物がいることでも話題になっていますが、庵野監督は「この映画に出てくる328人のうち、大人は3人しかいない。一人は赤坂で、残りの二人は、映画を見ればわかります」と完成記者会見で語っています。

彼の言う真の意味での大人とはどういうキャラクターなのか、「残りの二人は誰なのか」の謎解きの観点から見ても面白いですし、ゴジラが出現したときに求められる真のリーダー像についても考えさせられます。

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