左から、iPhone 4S(ホワイト)、Xperia acro HD SO-03D(Aqua)、GALAXY Note SC-05D(Ceramic White)

家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、2012年5月のスマートフォンの販売台数は前年同月比246.2%と、前年を大きく上回った。月間販売台数は過去4番目に多く、売れ行きは引き続き好調だった。

●トップ3は前月と変わらず、「GALAXY Note」も10位をキープ

SIMフリー端末を含む携帯電話全体の5月の販売台数1位は、3月、4月に続いて3か月連続でNTTドコモのAndroid搭載スマートフォン「Xperia acro HD SO-03D」が獲得。2位・3位も4月と同じで、2位にソフトバンクモバイルの「iPhone 4S」16GBモデル、3位にauの「iPhone 4S」16GBモデルが続いた。

一時はトップ10から姿を消していた従来型の携帯電話が7位・8位にランクインするなど、若干順位に変動はあったものの、全体的な傾向は、「iPhone 4S」と「Xperia acro HD」の2機種が飛び抜けて売れた4月と変わっていない。約5.3インチの有機ELディスプレイを搭載し、付属のタッチペンで操作する大画面スマートフォン「GALAXY Note SC-05D」も、前月と同じ10位につけている。

●実質1位はソフトバンクモバイルの「iPhone 4S」、発売以来8か月連続

容量・キャリアごとに別々にカウントしている「iPhone 4S」をキャリアごとに合算すると、ソフトバンクモバイルの「iPhone 4S」が販売台数シェア11.3%でトップ。キャリアごとに1機種としてカウントすると、2011年10月以来、8か月連続1位となる。

ドコモの「Xperia acro HD SO-03D」は、5月26日までの累計ではソフトバンクモバイルの「iPhone 4S」を抑えて1位だったが、20日過ぎから徐々に差を詰められ、最終的には0.4ポイント差で逆転されてしまった。とはいえ販売台数の差はわずかで、ほとんど同率1位といっていい。「Xperia acro HD SO-03D」とauの「Xperia acro HD IS12S」を同一機種とみなして合算すると、「Xperia acro HD」のシェアは14.3%。同様に、キャリアを区別せずに合算すると「iPhone 4S」のシェアは19.2%となり、両者の差は4月の4.2ポイントから4.9ポイントへとやや広がった。

スマートフォンに限って過去3年間のキャリア別販売台数シェアを集計すると、2010年12月以降、ドコモは「iPhone 4S」発売直後の2011年10月・11月を除いて常に4割~5割のシェアを獲得し、トップを独走している。母数となる契約数が多いので、既存ユーザーが機種変更するだけで販売台数が積み上がり、スマートフォン中心のラインアップに転換して以来、それまで1位だったソフトバンクモバイルをたやすく抜いた。販売台数No.1はiPhoneでも、スマートフォン市場のけん引役は、そのiPhoneを取り扱っていないドコモ、という構造になっている。

●日本市場向けに開発したauのスマートフォン「HTC J」が好調なスタートを切る

続いて、主要3キャリア、ドコモ・KDDI(au)・ソフトバンクモバイルのキャリア別月間トップ10を紹介しよう。なお、キャリア別のランキングでは、iPhone 4S/4の各機種を合算し、1機種としてカウントしている。

ドコモは、1位・2位は前月と同じで、3位に昨年12月発売のiモード対応携帯電話「N-03D」が入った。4位にも「らくらくホン ベーシック3」がつけ、久しぶりにスマートフォン一色ではなくなった。2012年夏モデルは、キッズ向け以外、従来型の携帯電話をラインアップしていないので、しばらくは現行機種が最新モデルとなる。

auも、1位・2位は前月と同じ。1位の「iPhone 4S」のシェアは29.0%と、依然としてダントツのトップだ。5位には、KDDIとHTCが共同で日本市場向けに開発した「HTC J ISW13HT」が5月25日の発売ながらランクイン。これまでのHTC製のグローバルモデルとは異なり、ワンセグやおサイフケータイ、赤外線通信に対応し、「従来型の携帯電話から安心して機種変更できる」と評価は上々のようだ。

ソフトバンクモバイルは、「iPhone 4S」がシェア59.7%がトップ。2位には、4月発売の防犯ブザー付き端末「みまもりケータイ 2」、2位には7月25日に開始する900MHz帯を使用した通信サービス「プラチナバンド」にいち早く対応した全8色の携帯電話「PANTONE 4 SoftBank 105SH」が入った。一方、「iPhone 4S」発売後も併売され、2010年6月以来、2年近く上位につけていた「iPhone 4」は販売台数が減少し、ついにトップ10から姿を消した。

●「Xperia acro HD SO-03D」に続くiPhone対抗機種は?

週次集計では、ドコモの「Xperia acro HD SO-03D」は、発売日を含む3月第2週(2012年3月12日~18日)から5月第3週(5月21日~27日)まで、11週にわたって機種別1位を獲得した。そのうち、3月第2・第3週と4月第2週(4月9日~15日)~5月第1週(5月7日~13日)は、ソフトバンクモバイルの「iPhone 4S」の販売台数を上回るほどだった。5月第4週(5月28日~6月3日)は2位、6月第1週(6月4日~10日)は3位と順位を下げているが、ドコモの端末のなかでは相変わらずトップだ。

5月に主要3キャリアが発表した2012年夏モデルは、高速データ通信・LTEサービスの本格立ち上げまでのつなぎ、という見方もある。夏モデルとして、ドコモは人気のシニア向け端末「らくらくホン」シリーズ初のスマートフォン「らくらくスマートフォン」、販売中のモデルをベースにした特別仕様モデル「AQUOS PHONE SH-06D NERV」を含め、3キャリア中、最多の17機種を取り揃えた。一方、「iPhone 4S」を抱えるauとソフトバンクモバイルは機種数を絞り、厳選した印象だ。iPhoneのモデルチェンジは、独自のマップアプリなど、200以上の新機能を盛り込んだ新OS「iOS 6」の提供時期から予想すると、早くても今秋だろう。このまま「2強」の状況が続くのか、ドコモ側の人気機種だけが切り替わるのか、あるいは多くの機種に人気が分散し、混戦模様になるのか。各キャリアの夏モデルが発売になる6月中旬以降のランキングに注目したい。(BCN・嵯峨野 芙美)

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