自分の中の物差しを増やしたいなって思うんです(暁)

千秋:なんていうか、最近またライブが正義ということになったんです。「ダブルラリアット」に来てくれた人が、まあ述べ2~3000人いたとするじゃないですか。その人たちには空気感も含めてダイレクトに伝わりますもんね。

ネットインタビューやりつつも「どうなの?」って気持ちもありつつ。でも今後もやるだろうし、難しいなあと。これを機会にネット記事にも問題提起はしていきたいですね。

――と、いいますと?

千秋:ヴィジュアル系に対する問題提起をしたのが「This Is The “FACT"」だし。だから、俺らだけじゃなくて、メディアの人もきちんと考えてくださいよ~。従来の役割だけやっていっても盛り上がらないんで、色々やってもいいと思うんですよ。

暁:それはそうね、俺らもやることだけやってればいいっていうのじゃないと思う。だから、自分の中の物差しをふやしたいなって思うんです。

――「物差し」とは。

暁:色々な経験をすることで、視野が広がったんで、選択肢が増えるじゃないですか。そこで違う物差しを増やすのではなくて、自分自身の物差しの目盛りを細かくしていきたい。物差しがたくさんあるよりは、すごく細かい物差しになったほうがいい。

千秋:「物差しが欲しい」ねえ。俺はねえ、「翼が欲しい」。

暁:はあ!? むっちゃかっこいいやん! 俺の「物差し」に比べて全然かっこええやん。ヴィジュアル系っぽい。

千秋:暁は「物差し」が欲しい。かたや俺は「翼」が欲しい(笑)。

暁:(笑)。

千秋:なんか、幕張とかBLITZのステージにしても、前につっこむよりは上に行きたいんですよ。
物理的に上に飛ぶんじゃないですよ? 気持ちを上にいきたい。

どんなステージにも上には人はいないでしょう。歌うときは上を見たいし行きたい。大きいバンドは皆そうだと思うんです。だから、おまえ物差し、おれ翼!

暁:俺は物差しでええわ。お前は翼が手に入ったら絶対違うの他のものが欲しくなるやろ。

千秋:そんなんいうたらお前だって物差し手に入れたらえんぴつ欲しくなるやん。

暁:俺は物差しの目盛りをひたすら細かくし続けるだけやから、俺はずっと物差し持ってる!
千秋は翼で他のところに行きたくなるやろ。違うところに行ったらまた違うもの欲しくなるだろうからな~。大変やな!

千秋:……言われてみればたしかにねえ。っていうか、「翼が欲しい」はネタとして受け取ってよ。ガチになると恥ずかしすぎる(笑)。ちょっとしたボケやん。

そう、最近かっこつけるのやめたって、いろんな場所で言ってるんですけど。その話につながるんですけど、「俺らはシーンを背負いたくない、ヴィジュアル系関係ない」って前は言ってたんです。

VJSはX JAPANが仕切ってくれて、3万人もいたわけじゃないですか。普通にXやGLAY、LUNA SEAでライブやればそのくらい余裕で入るのに、俺らとかを呼んだわけでしょ? あの人たちがあんなんやってくれて、さっきは批判的なことを言ったけど、俺らもオッサンになったらあれやりたい。

(シーンを)背負いたいって今は思わないけど、50歳とかになってアルルカンやDEZERTがどうなってるかはわからんけど、主催で幕張メッセとかできたらすばらしいね。

暁:いつかね。自分達の活動が結果的にシーンに還元されればええとは思うけど。いつかは望んで還元したいけどな。

――それは素敵なことだと思います。

暁:いつも千秋と飯食ってる時、こういう話をして、僕の思うことを聞いてもらって僕の知らない見方や意見を聞かせてくれる、「会」(笑)。今日みたいなのがあるんですけど。そういう話を聞いて。

千秋:コイツ汚いんですよ、そうやって俺のことを上にしていくんですよ。

暁:えー! だって僕よりいろんなこと無茶苦茶知ってるやん! 僕は世間知らずやし。何も考えんでやってたし。僕は僕のペースを大事にしてやってはいたんだけど……。

千秋:それで自分のペースよりも周りが早くなってパラドックス起きたんやろ? 流れに乗っかるのも大事やと思うんやけどな~。

暁:それずっと言うてたな。でも(バンドが)早く行く分、寿命縮めてたと思う。早く行くリスクってあったと思う。

――アルルカンは結成して2年で渋谷公会堂ワンマンという、ものすごい早いスピードでバンドが展開してましたからね

千秋:でも、遅く行くのもリスクですよ?

暁:そりゃそうやけど、俺はそれを選んだ。

千秋:ええと思う。

暁:一時期まで「ええと思う」すら言ってくれへんかったもん。

千秋:まああれはお前らが渋公やるからムカついてただけやからな。

暁:なんやねんそれ!

千秋:だって俺らも渋公やりたかったもん。(これまであった渋公は)なくなっちゃったからねえ。それで嫌味言うってただけだもん。ただの嫉妬です(笑)。

暁:この1年くらい、変わらないといけない、変わってはいけないところを考え直す機会が必要だった。
喉のことで休んでたこともあって、「誰か」じゃなくて「自分」を求められているわけだから、自分が思うことをやらないといけないんだけど。強くなりたいし、たしかなものにもなりたい。

だから何かが欲しかったり。自分の持ってないものに触れたかったりするんです。

千秋:思春期や、万年思春期。

暁:考えて生きてこなかったんで、今その分考えてるんかな。

千秋:考えてこなかったのに、大きなステージに立てるのは才能だよね。
すごいよね。カリスマやん。

暁:カリスマちゃうわ、あんなんだたの勘違いや。

千秋:カリスマと勘違いって一緒やからな!