ごはんを中心とした「和食」は栄養バランスが優秀

――そもそも、給食の献立はどのように決まるのでしょうか。

江口「杉並区には、『標準献立』というものがあります。教育委員会と各学校の栄養士が持ち回りで考えた標準献立をベースに、各学校で行事などに合わせてメニューを作っていきます。ほとんどの学校がそういった形でやっています」

――しかしながら三谷小学校では、「献立の8割を和食にする」という独自の方針をとっているため、実質的に標準献立は使えず、ほぼオリジナルのメニューを提供しているそう。

江口「食生活の実態を調査したところ、家庭では特に朝食で、パン食が多くなっています。味噌汁も飲まなくなってきています。けれども、ごはん食の方が食品数が増えますし、やはり栄養的なバランスもよくなっている。どうしてもパン食だとワンプレートになりやすいんですね。

そこで、小学生のうちにしっかりとした和食を教えこみ、中学に入ったら世界に向けていろいろな食を伸ばしていこうと、そういう方針にしたいと提案したのです」

――和食の日には、こしょうなどのスパイス以外はほとんど国産食材だけを使って調理。少しでも安く魚を仕入れるために漁港と直接取引し、送ってもらうとも。公立校でありながら、児童に自分で弁当を作ってきてもらう日を設定しているのも、独自の方針に基づく取り組みです。

子どもたちといっしょに味噌も手作り

江口「給食で新しいメニューを作るときは試作をします。大量調理なので想像がつかないものもあり、普通のお店のやり方とも違うところがあるので。

中華丼なんかは初めに野菜を全部湯通しして、水分が出ないようにする。あえものだったら、ゆでたり漬けたりして、実際の1人分はこれくらいの量になる、などと確認したりします。

意外と難しいのは、親子丼やカツ丼。お店で出すような『半なま』にはできませんので、どう本物に近くしようかという。75度、85度まで温度を上げるとなると、卵のたんぱく質が全部固まってしまう。そうすると卵がボロボロになってしまって、きれいにできないんですね。

でも厳しいことに、そういった試作の予算はゼロなんです。監査も入りますし、試作でつくったとなると指摘されます。だから全部自分で買ってくるしかない(笑)。(他の学校も)皆さんそうだと思いますが」

――それでも、おいしくないものは出せないし、自分で納得したいものを出したい、と江口教諭は話していました。

制限の多い中で試行錯誤を重ね、子どもたちのためを思って作られる給食。

クックパッドでも一部レシピが紹介されていますので、ぜひ参考にされてはいかがでしょうか。

ライター/女子栄養大学 食生活指導士1級。学生時代からさまざまな体調不良に悩まされたこともあり、健康的な生活習慣について学び始める。現在は専門家を中心に取材活動を行い、おもに食、健康、美容、子育てをテーマにした記事を発信。乗りもの好きな1男の母でもある。