いつでも明るく元気。常に“上”を目指して努力する……そんなポジティブな姿勢が賞賛される時代。できれば我が子にも、「どんな時もめげず、前向きにがんばる子」になってほしいですよね。

けれども、すべての子どもがいつでもニコニコ、ポジティブでいられるとは限りません。

「どうしてうちの子は…」と否定的にとらえてしまったり、子どもの方も悲観的な自分に対して「自分はダメなんだ」と感じ、ストレスを抱えているかもしれません。

子どものネガティブな感情と、どう向き合ったらよいのでしょうか。

ネガティブな感情を否定されると、感情の行き場がなくなってしまう

ネガティブな感情は、多かれ少なかれ、誰でも日常的に抱く感情です。しかしながら、なぜ避けられ、嫌われてしまうのでしょうか。『良い子のこころが壊れるとき』(山登敬之著)には次のように書かれています。

大人の感情

◆ネガティブな感情は「不快」なもの。
⇒「不快」な感情は、良くないことだ。
⇒子どものネガティブな感情に触れることで、親自身のネガティブ感情がかきたてられ、つらくなり、耐えられない。

◆ネガティブな感情は受け入れられない。
⇒できるだけ早く処理してしまいたい。
⇒感情を「否定」し「突き放す」。
⇒無理に励ましたり、他のことで気を紛らわしたりして、「ないことにする」。

子どもの感情

◆親の対応や態度から、ネガティブな感情を表すことは「いけないこと」だと思う。
⇒ネガティブな気持ちを持つ自分は「受け入れられない」「愛されない」と感じる。
⇒自分の感情を表に出さなくなる。

ネガティブな感情を受け入れてもらえないと、子どもの正直な気持ちは「行き場を失ってしまう」、といいます。

また、基本的な感情の一部を否定され続けることで、愛情のよりどころや安心感を得ることができず、自分の存在を否定することにもつながりかねません。

ところで、子どもが転んで泣きだしてしまったとき、どう対応されていたでしょうか?

「痛くないよ、ほら全然痛くない…」
よくありがちな光景ですが、じつはこれも、子どもの感情や痛みを、さりげなく否定してしまう言動なんだそうです。