音楽も格好いい、青春を描いた『みんな!エスパーだよ!』

エロさを発揮している女優としては、他にも園子温監督の妻である神楽坂恵が、ほぼ毎回、安田顕におっぱいを揉まれている。安田顕が超能力を研究している教授で、神楽坂恵がその助手なのだが、なぜか淡々とそのセクハラを受け入れている。さらに、元・第三舞台の女優、筒井真理子も嘉郎(染谷将太)の母親役として出演。普通の主婦役だが、とにかく嘉郎には考えていることが筒抜けなので、生々しいエロを担当するような状態になっている。その筒井真理子は『ラスト・シンデレラ』にも出演していて、そちらでは社長令嬢である千代子(菜々緒)の母親役。まったく正反対のキャラクターなので、比べて見るとなかなか面白い。

そして、『みんな!エスパーだよ!』における強烈なエロアイテムは、TENGAが大量に登場していることだ(TENGAがどういうものか分からない人は、自分でググって調べるよーに)。最近は男性芸人などがテレビでその名前を発言することも多いので、決してネガティブなイメージはないが、ドラマでこれほど頻繁に堂々と使われたのはおそらく初めてだと思う。あと、高校が舞台ということで、授業中のシーンも多いのだが、教師のセリフも基本的にはエロい言い回しになっている。メインのセリフやナレーションにかぶって聞き取りにくいが、オスカーの森田彩華までもが教師役で出演しているので、ぜひじっくりチェックしてもらいたい。とにかく、このあたりのエロさは徹底しているので、これまでのお色気深夜ドラマとは、一線を画している感じだ。

こうしてエロの部分だけを書き出していくと、単なるくだらない深夜ドラマに思えてしまうかもしれない。でも、この作品は、男子が憧れる“正義”と“性”の間に超能力というアイテムを置くことで、その夢と欲望をリアルに描いているところがいい。確かにバカバカしいのだが、間違いなく青春の一面であることには間違いない。主題歌は高橋優の「(Where’s)THE SILENT MAJORITY?」。このメッセージ性の強い曲がオープニングを飾っていて、ドラマではメインキャストを前にアコーステイックギター1本で歌っている。

 

 

エンディングは石崎ひゅーいの「夜間飛行」で、これも作品の内容にあっていてかなりいい。
バックで使われる映像は毎回違っているのだけど、どの映像にもフィットしている。

 

 

『みんな!エスパーだよ!』はテレ東系の作品なので見られない地域もあるかもしれないが、『ラスト・シンデレラ』だけでなく、こちらもDVD化されたらぜひチェックしたほうがいい作品だ。

 

たなか・まこと  フリーライター。ドラマ好き。某情報誌で、約10年間ドラマのコラムを連載していた。ドラマに関しては、『あぶない刑事20年SCRAPBOOK(日本テレビ)』『筒井康隆の仕事大研究(洋泉社)』などでも執筆している。一番好きなドラマは、山田太一の『男たちの旅路』。