餃子のラスベガス この派手な暖簾がめじるし

東京の下町北千住にラスベガスが出現した。といってもカジノではない。『餃子のラスベガス』である。

博多で人気の同店が関東に初上陸したのだ。そのチャラチャラした屋号からいい加減な輩が、テキトーに作った餃子を出していそうなイメージを抱いていた。

ところが。

それが。

大間違い。

前の晩厨房でこねて、ねかせて熟成させた皮に、その日仕込んだ餡を包むという餃子道一本槍の、大真面目な餃子屋だった。

フォトギャラリーどれも美味そう♪【餃子のラスベガス】おすすめメニュー
  • 餃子のラスベガス開店前に餃子を用意するが、足りなくなると営業中も餡を包む
  • 餃子のラスベガス開店前、餃子の餡を寸胴鍋で仕込んでいた
  • 餃子のラスベガスモチモチ食とつるんとした舌触りを鑑賞できる「水餃子」
  • 餃子のラスベガスビールがすすみそうな「タコときゅうりの大葉みそ和え」
  • 餃子のラスベガス見た目以上にでかい。かなりビッグな「餃子おにぎり」

ピューッ! 肉汁の飛び出しに要注意!

餃子のラスベガス 正直いってこれほどうまいとは。いい意味で予想を裏切られた

「焼餃子(5個490円/以下すべて税別)」をひと口噛んだ瞬間、なにが起きたと思う? 肉汁が飛んだのだ、ピューッと! 飛行距離20センチオーバー。

大昔、上海は豫園の小籠包専門店で小籠包を齧ったときもそんなことがあった。ラスベガスに餃子屋があるかどうか知らんけど、こっちの『ラスベガス』の「焼餃子」は肉汁が飛ぶのだ。

どんだけ肉汁がつまってんだ、いったい。

餃子のラスベガス 開店前、餃子の餡を寸胴鍋で仕込んでいた

「肉汁感を出すため豚もも肉をブロックで仕入れ、毎日使う分だけ店内で挽いています」と店長の森田正志さんが教えてくれた。

だからこその肉汁感であり、肉汁が飛ぶのだ。お見事。

醤油、酢、自家製粉ラー油の用意がある。自分で調合した、好みのタレにつけて食べてもいいだろう。でも、餡に味がついているので、まずはそのまま食べるべきではないか。甘みを含んだ肉汁にタレをつけるなんてもったいないゼ。

皮はやや厚め。その厚めの皮に、餡がたっぷりつまっていた。餡の密度が高い餃子は、得てして食感が固くなりがち。ところが、この店の「焼餃子」は肉汁を多く含んでいるためか、心地よく噛み切れた。

ゆでたての「水餃子」も頼むべし

餃子のラスベガス モチモチ食とつるんとした舌触りを鑑賞できる「水餃子」

この店では「水餃子(5個490円)」も供している。ゆでるせいか水分を多く含み、「焼餃子」よりもさらにモチモチ感を愉しめた。

「餡も皮も『焼餃子』と同じものを使っています」

「焼餃子」はなにもつけずそのままが一番だと書いたが、水分を多く含む「水餃子」はタレをつけたほうが断然うまい。

「水餃子」を齧っていてふと思ったことがある。この「水餃子」を焼き餃子にしたらさぞやうまいのではないか。水餃子は中国東北部で食べられてきた。残った水餃子を翌日焼いて食べていた。終戦直後、その食べ方を持ち帰った人々が焼き餃子をこの国に広めていった。

『ラスベガス』の「水餃子」を、こげ目がつく程度に焼いたらどうだろう。ジューシーでモチモチな食感と焼き目の香ばしさを愉しめる〈水餃子の焼き餃子〉。『ラスベガス』の新名物が誕生すると思うのだが。

「順番が反対になってしまいましたが、餃子が焼けるまでの間にお出しするスピードメニューの中から人気が高い料理も食べてみませんか」