『ノルウェイの森』や『1Q84』で知られる小説家・村上春樹の作品の中に、たった一度月刊誌に掲載された切り、一度も単行本化されていない幻の中編小説があるのはご存じでしょうか? 熱心なファンの中には、この作品を読みたいがために神保町の古書店を巡り歩き、掲載誌を探す方も多いようです。
ほかにも、漫画『ちびまる子ちゃん』や『ブラックジャック』のワケありな単行本未収録回や、『竜馬がゆく』で知られる歴史小説家・司馬遼太郎の幻の推理小説など、古本屋や書店ではなかなか手に入らない作品は数多くあります。
そんな入手困難な作品も、日本の出版物をすべて所蔵している国立国会図書館に行けば閲覧することが可能です。さらに国会図書館では、貴重な所蔵資料を複写できる「遠隔複写サービス」も実施しています。
遠隔複写サービスは、国立国会図書館が所蔵する文献の複写をインターネットや郵送で申請できるサービスで、わざわざ図書館へ足を運ばなくても目当ての文献を取り寄せることができます(来館して複写することも可能)。
国会図書館に所蔵されている文献であれば、絶版本であっても複写を依頼できるため、有名作家や売れっ子漫画家が過去に手掛けたワケあり作品でも取り寄せて読むことが可能なのです。
そうは言っても「国会図書館へ複写依頼」と聞くと、なんだか申請が複雑そうですし、敷居も高い印象を受けますよね。そこで、この記事では筆者が以前、文献研究目的で遠隔複写を依頼した際の一連の流れをレポートしていきたいと思います。
ステップ1 国立国会図書館の利用者登録をする
複写サービスを利用するためには、前もって国立国会図書館の利用者登録を済ませておく必要があります。満18歳以上で本人確認書類を用意できる人であれば誰でも申し込むことができるので、郵送か来館して手続きをしましょう。