美術家ながらヤクルトスワローズに「戦力として迎え入れてもらいたい、背番号がほしい」と願う、ながさわたかひろ氏。
試合のハイライトを1枚に収めた絵は、対戦相手チームの選手の様子までもが緻密に描かれ、その迫力と熱量に圧倒される。プロ野球が好きな人ならば、この臨場感はたまらないはず。
しかも、試合翌朝から次の試合開始時間までに1枚を描くという偉業を1年間やり通す彼は、まさに選手と同じようにそのシーズンを戦っている美術家なのだ。
シーズン終了後の12月には、2014年の144試合らをまとめたイラスト集が発売され、(本人曰く)自主トレに突入。そして、1月9日からは個展が都内でスタートした。
残念ながらスワローズは2年連続で最下位という成績だったが、ながさわたかひろ本人の2015年はどうなるのか? 個展開催初日の囲み取材に潜入した。
最下位だったヤクルト2年間、ひとりの男が描いた288試合
報道陣の前に、ヤクルトスワローズ・山田選手のユニフォームで登場したながさわたかひろ氏。これまで、その独特な活動が話題となり、テレビやラジオ等への出演機会はあったものの、囲み取材は初めてだそうで、まずは帽子をとって「よろしくお願いします!」と大きな声で挨拶をした。
初めて自分のイラストが書籍として発売されたことへの気持ちを問われると、
「本屋に並んでいるのを見ると、これはいろんな人に見てもらいたいな、って思いです。これまでは、描いていても知ってる人しか知らなかったわけですから。展覧会を開いても、足を運ばなければ見られることはなかったわけですけど。でも、僕の知らないところでも“作品に触れてもらえる機会が出てきた”っていうのが、すごい嬉しいですね」と素直に喜びを表した。
「最下位だったヤクルトの2年間に、ひとりの男がどういうことをやってきたのか?っていうのをしっかり見てもらいたい」との思いで、個展会場には2013年と2014年シーズンの全試合のイラストを並べて展示。