テレビ復権の鍵、若者がテレビに戻ってくるために

「もし、この時間に、カネも労力も惜しまずかけて、アタシが子どもだったころのゴールデン・タイムの番組のノリでやったら、テレビって、もう一度、復活するんじゃないかなって思う」(同書より)

その番組とは、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』『オレたちひょうきん族』『8時だョ!全員集合』といったものですね。こういった熱の入った番組をあえて遅い時間に放送することで、視聴者を惹き付けるのです。確かにこの11時台という枠は、『怒り新党』『アメトーーク!』で視聴率が13~14%をたたき出すこともあるほど、ポテンシャルを秘めている時間帯と言えるでしょう。

「各局がポテンシャルの高い番組をそろえれば、若者もテレビを観る習慣になってくれるんじゃないかな。それも、『さあ、これから「アメトーーク!」を観るゾ』と楽しみに待ち構える人だけでなく、目的もなくリモコン片手にネットサーフィンみたいなことをしていたような人も、おもしろい番組やっている時間帯だということが分かれば、みんなテレビ、つけるじゃん」(同書より)

マツコさんの言うテレビ復権のためには、各局が11時台に力を入れる必要があります。世の中に「11時台のテレビが面白い」と認識されれば、若者がテレビに戻ってきて、その魅力をSNSで発信するようになります。さらに、「11時台はゴールデン・タイム」という空気が醸成されることでしょう。

では、なぜマツコさんはここまでテレビにこだわるのでしょう。その理由も同書で明かされています。

「アタシ、テレビで育った人間だから、やっぱりテレビには活気がなくっちゃ、おもしろくないの。11時台がその突破口になるのかな、って本気で思っているのよ」(同書より)

だからこそ、あえて厳しいことも口にします。

「最近、『ネットがあるから、仕方ないな』なんて言い訳しているテレビの制作者が多いけど、そんな意識じゃ、結局、ネットに負けちゃうような内容しか作ることができないね。それじゃ、誰も観ないよ。その気になれば、テレビ番組はどんな優れたネットのホームページよりもおもしろくなるよ。自分たちのテイタラクをすべてネットのせいにしちゃダメだよ」(同書より)

愛のある警鐘を鳴らすマツコさん。4月から新しい番組がスタートしていますが、あなたが注目している11時台の注目の番組はありますか?

「11時台の総バラエティ化」、確かに実現したら、帰宅後のビールの時間にちょうど良いと、個人的には楽しみにしています。皆さんは、いかがですか。

【書籍情報】
『デラックスじゃない』マツコ・デラックス著 双葉社