【ドラマ】視聴率15%超えは2作品、5作品が1ケタ(1~3月前編)

2012.4.1 6:00

『家政婦のミタ』など10~12月期の高視聴率は一過性のバブで、1~3月期の視聴率が平均で15%を超えたのは『ラッキーセブン』と『ストロベリーナイト』の2作品だけ。1~3月期総評前編。

『家政婦のミタ』に代表される10~12月期の高視聴率は、どうやら一過性のバブルだったようで、1~3月期の視聴率はいつものような数字に戻った。平均で15%を超えたのは『ラッキーセブン』と『ストロベリーナイト』の2作品だけ。5作品が1ケタに沈むという結果になった。

特徴的だったのは、1~4位までがすべてフジテレビ系の作品で、逆にテレ朝系の作品はすべて1ケタだったということ。局によっての成績がハッキリと分かれたクールでもあった(ただし、テレ朝系の『相棒』は2クールの平均で16%を超えた)。ということで、まずは視聴率の順位を確認してみよう(ビデオリサーチ社調べ、関東地区、数字は加重平均)。

ラッキーセブン 15.59%
ストロベリーナイト 15.39%
ハングリー! 12.68%
最後から二番目の恋 12.36%
運命の人 12.04%
理想の息子 11.91%
最高の人生の終わり方~エンディングプランナー~ 11.05%
早海さんと呼ばれる日 10.53%
ダーティ・ママ! 10.53%
恋愛ニート~忘れた恋のはじめ方~ 9.14%
13歳のハローワーク 8.34%
ステップファザー・ステップ 7.82%
聖なる怪物たち 7.77%
妄想捜査~桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活~ 5.45%

 

ラッキーセブン DVD-BOX』 フジテレビ 15,362円 ※6月11日発売予定

1位は、松本潤、瑛太、松嶋菜々子、大泉洋、仲里依紗などを配した月9の『ラッキーセブン』。シリーズ構成と演出に『GANTZ』の佐藤信介を迎えたことで、アクションシーンの仕上がりは出色だった。この点に関しては、素直に松本潤と瑛太の頑張りに拍手を送りたい。そのエッジの効いたアクションがあったからこそ、大泉洋を中心としたゆるい会話も活きたと思う。

ただ、全体的には、いろいろと準備不足だったんじゃないかという気もした。最終的にはそれぞれのキャラクターが立ってきたけど、出だしは『ラッキーセブン』とタイトルにも出しているのに、7人を意識した見せ方はほとんどできていなかった。とくに可哀想だったのは、デスク担当のメイ(入来茉里)。機械オタクという個性が与えられていたのに、セリフの振り分けもカット割りもほとんど意識されていなかった。それは瞳子(松嶋菜々子)に関してさえも感じるくらい、出だしはバランス感覚に欠けていた。

まあ、脚本に関しても繊細さは皆無だったので、最初からノリ重視の作品だったんだと思う。でも、それが受け入れられて15%を超える視聴率を取ったんだから、これはこれで商品としては成功だった。 

ストロベリーナイト DVD-BOX』 フジテレビ 18,434円 ※6月29日発売予定

2位は、単発ドラマから連ドラ化された『ストロベリーナイト』。エグいシーンも多かったので見る人によって好き嫌いはあっただろうけど、あらゆる面でクオリティーの高い作品だった。とくに、短篇集『シンメトリー』からの『シンメトリー』『右では殴らない』『過ぎた正義』『悪しき実』あたりの脚本の広げ方はうまかったと思う。他の原作も踏まえ、ドラマ版としての世界観をきちんと確立していたところが良かった。

姫川(竹内結子)のキャラクターは、ややとんがり過ぎていて、見ていて息苦しさも感じたけど、菊田(西島秀俊)がうまくバランスを取っていた。この2人のコンビは最高だったと思う。個人的には、管理官の橋爪(渡辺いっけい)はキャラ立てが強すぎてあまり好きじゃなかった。でも、ここも係長の今泉(高嶋政宏)がバランスを取っていたと思う。高嶋政宏の今泉キャラは、なにげにポイントが高かった。

全体的にテンポが良くて、編集もシャープだったので、ながら見をしていると大事な部分を見逃してしまうという面はあった。とくに『ソウルケイジ』は登場人物が多かったせいもあって、ちょっと分かりにくいところもあったと思う。でも、チームワークの良さがにじみ出ていた姫川班、個性の強い日下(遠藤憲一)や勝俣(武田鉄矢)など、世界観の完成度は高かったので、これなら映画化も当然の流れだと思う。ていうか、これでやめたら、ちょっともったいない。もうしばらく『ストロベリーナイト』を堪能できそうな映画化決定のテロップは、うれしいニュースだった。

ハングリー! DVD-BOX』 関西テレビ 18,434円 ※5月25日発売予定

そして、向井理、塚本高史、三浦翔平、稲垣吾郎などが共演した『ハングリー!』が、1・2位とはやや差が開いたものの、3位に滑り込んだ。さすがに稲垣吾郎はクセのある役を自然に(?)演じていたし、三浦翔平も優しいお調子者を可愛く演じていたと思う。あと、やっぱり瀧本美織のナチュラルな雰囲気が良かった。コメディセンスもあると思うので、彼女には今回みたいな等身大の役をしばらく続けて欲しい。

内容的には、ロックとフランス料理の融合が単なる企画だけに終わったような気がして、かなり残念だった。むしろそのためのキャラクター設定が、いろいろと足かせになった感じで、大森美香らしい脚本の繊細さもほとんど感じられなかった。ただ、英介(向井理)、千恵(瀧本美織)、まりあ(国仲涼子)の関係にハッキリとした結論を出さない終わり方は悪くなかったと思う。続編を意識してということも考えられるけど、バンドメンバーも含め、何も変わらない関係というところにも意味があると思うので、これは続編を作らずにスッパリ終わらせて欲しい。

以下、9位までが2ケタを死守。放送延長時間を考慮した加重平均ではなく、単純平均なら『運命の人』と『理想の息子』、『聖なる怪物たち』と『ステップファザー・ステップ』がそれぞれ逆の順位だった。

全体的にはあまり高い数字じゃなかったけど、フジは上位を占めて、なおかつ『ストロベリーナイト』で映画化に持ち込めるのだから、十分に成功したクールだったんじゃないだろうか。TBSは『運命の人』で思うように数字が伸びなかったのが痛かった。『最高の人生の終わり方』も、キャストを考えればもう少し高い視聴率を期待していただろうし……。

一言でまとめれば、フジがひとり勝ちしたクールだった。

たなか・まこと  フリーライター。ドラマ好き。某情報誌で、約10年間ドラマのコラムを連載していた。ドラマに関しては、『あぶない刑事20年SCRAPBOOK(日本テレビ)』『筒井康隆の仕事大研究(洋泉社)』などでも執筆している。一番好きなドラマは、山田太一の『男たちの旅路』。

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