『北斗の拳』の『愛をとりもどせ!!』じゃない方! 『SILENT SURVIVOR』

武論尊先生原作、原哲夫先生作画の強力タッグによって生まれた傑作格闘バイオレンスアクションといえば……そう! 勿論、『北斗の拳』です!

核戦争後の荒廃した世界を舞台に、主人公、ケンシロウが究極の人体破壊格闘術"北斗神拳"を武器に、無法状態の乱世を生き抜く姿を描いた、これまたジャンプ黄金時代における大ヒット作の一つ。

時に無力な人々を蹂躙する巨悪に対して正義の鉄槌をくだし、時に自身と同じ拳の達人との戦いを通して漢の熱い生き様を描く『北斗の拳』は、その物語が完結した後も、アニメや漫画、ゲームに遊技機といった様々な媒体で、多数のスピンオフ作やリメイク作、パロディ作を生み出し続けています。

そして、『北斗の拳』の主題歌と言われて、誰しもが即座に思い浮かべるのが「YouはShock!」という歌い出しのフレーズもインパクト大なクリスタルキングの『愛をとりもどせ!!』、或いは、テレビアニメ版二作目のオープニング曲であるTOM★CATの『TOUGH BOY』でしょう。

しかしながら、『北斗の拳』主題歌における、この二大名曲の陰に隠れた"じゃない方"のオープニング曲があることを皆さんは、ご存知でしょうか?

それが、第一期のテレビシリーズ後半の主題歌として使用されていたKODOMO BANDの『SILENT SURVIVOR』!

本格的なバンドサウンドとハードボイルドな歌詞が持ち味の楽曲なのですが、如何せん、アニメの終盤で使用された楽曲の為に『愛をとりもどせ!!』に比べると放映された期間も短く、尚且つ、ちょっとダークで暗い曲調も手伝って、『北斗の拳』の主題歌としては、ちょっとスポットライトが当たりづらい曲になっているように思います。

大人になった今、聴き返してみると、ロックテイストに溢れたカッコ良いナンバーだと分かるのですが、子どもが聴くにはちょっと暗過ぎたのかもしれません……。大人になった今だからこそ聴き返したい"じゃない方"アニソンだと言えるでしょう。

ちなみに、この曲を歌っていたKODOMO BAND(子供ばんど)のヴォーカリストは、現在では俳優としてもご活躍されている、うじきつよしさん。うじきさんは、実は『TOUGH BOY』のプロデューサーを務めていたりと、何気に『北斗の拳』との関わりが深い方でもあります。有名俳優のちょっと意外な過去ですよね。

その辺りのコクと深みも、『SILENT SURVIVOR』を聴く際には感じていただきたいです!

『新機動戦記ガンダムW』の『JUST COMMUNICATION』じゃない方!
『RHYTHM EMOTION』

『キン肉マン旋風』や『SILENT SURVIVOR』の例を見ても分かるように、アニメの最後期に使用された主題歌は、それまでの楽曲に比べると、どうしても印象が薄くなってしまい、ちょっと不遇な扱いを受けてしまうことが多い気がします。

90年代のアニメを代表する一作であり、OVAや劇場版がリリースされるなど、90年代のガンダムシリーズで高い人気を誇った『新機動戦記ガンダムW』にも、そんな楽曲が存在しています。

それが、物語のクライマックスを彩った『RHYTHM EMOTION』です。

この曲は、初代のオープニング曲である『JUST COMMUNICATION』を歌っていたTWO-MIXが続けざまにリリースした主題歌第二弾。セールス的には、『JUST COMMUNICATION』を上回る売り上げを叩き出し、大ヒットシングルとなったものの、そのセールスに反して、"アニメ主題歌"としては、初代のオープニング曲に比べるとちょっと印象が薄くなってしまっている曲ではないかと……。

それもそのハズ、この『RHYTHM EMOTION』は、主題歌としては二ヶ月程しか使用されなかった曲なのです!

1クールのアニメ作品や、放送時期を分けて放映する"分割2クール"といった放送形体が一般的になっている現在とは違い、90年代は、まだまだ半年から一年という長期間に渡ってアニメが放映されていた時代。

『新機動戦記ガンダムW』も全49話というエピソードが設けられているのですが、オープニング曲が『JUST COMMUNICATION』から『RHYTHM EMOTION』に切り替わったのは、ストーリーもいよいよ大詰めを迎え始めた第41話から。

その為、『RHYTHM EMOTION』は前作より高いセールスを挙げ、更に、これまた前作に負けず劣らずロックテイストに溢れた打ち込みサウンドがカッコ良い名曲であるも関わらず、『JUST COMMUNICATION』よりも印象が薄くなりがちなアニソンだと思うのです。

そういう意味では、使用された時期によって、少し損をしてしまった曲といえるかもしれません。とはいえ、曲自体は、物語のクライマックスを更に盛り上げる、大きなドラマ性に満ちた良曲ですよ!

ちなみに、TWO-MIXの正体は、声優の高山みなみさんによる覆面ユニット。『機動戦士Vガンダム』以降の平成初期ガンダムテレビシリーズ直撃世代な人なら常識かと思いますが、年若いアニメファンの為に、念の為にご説明をば。

如何だったでしょうか? いずれも本当にカッコ良いナンバーばかりですので、アニメ本編で、或いは、CDやダウンロード購入で、ご一聴をいただき、今こそスポットライトをあてていただければ幸いです!

都内在住の極々平凡なサラリーマン兼、アニメ、音楽、プロレス、映画…と好きなものをフリーダムに、かつ必要以上に熱っぽく語るBLOG「さよならストレンジャー・ザン・パラダイス」管理人。永遠の"俺の嫁"である「にゃんこい!」の住吉加奈子さんと共に、今日も楽しいこと、熱くなれることを求めて西へ東へ。