虎徹はヴィジュアル系のイメージをとっつきやすくしてくれた

煉:「猫のバンド」と呼ばれることもありますが、我ながらヴィジュアル系の業界にとっては、なかなかプラスなことをやっているんじゃないかなと思います。ヴィジュアル系のイメージをとっつきやすくしたんじゃないかなと思うんです。

最近、小学生とかからファンレターが来ることもあるんですよ。こないだは小学生どころか字を覚えたての子からもファンレターをいただきました。それは虎徹宛だったんですけど(笑) 俺たちのバンドは中学生とか普通の女の子が聴くような音楽ではないかもしれませんが、ヴィジュアル系に足を突っ込むきっかけになってくれたらと。

前田:ヴィジュアル系というジャンルを知ってもらえたらね。

煉:音楽をやっている立場からすると、知ってもらってなんぼですし。見た目が派手だし、顔がピアスだらけで刺青だの派手髪だので、見た目だけで敬遠する人も多いと思うんです。でも、そんなやつらでも猫を育てるし、普通なんです。聴く前に敬遠しないでほしいんです。

虎徹はヴィジュアル系のイメージを変えるきっかけを作れているのではないかと思います。できれば俺達のファンが増えてくれたら一番なんですけど、そうじゃなくても業界に興味を持ってくれたらうれしいですし、「猫のバンド」と言われるのは嫌ではないです。

前田:Twitterを見ていても、煉さんのことを叩いている人はいないですもんね。

煉:それ、自分でもびっくりしていて。テレビはゴールデンの時間帯でしたし、テレビ局の人からも「テレビに出るとある程度バッシングがくるのは覚悟してください。悪い印象を持たれないように編集をするつもりですが、絶対一定数そういうのが現れるので、そこらへんを承知した上で出演をお願いします」と言われたんですが、びっくりするくらいないんですよね。もちろん、ゼロではないと思いますが、意外ですよね。もっと叩かれるつもりでいたんですが、「部屋汚ねぇな」くらいで。それは別になんとも思わないし、自覚しとるわと(笑)

前田:叩かれないのは煉さんの人柄ですよね。

煉:テレビ局の方も良い感じに編集してくださってますし、2chを見てみると「ヴィジュアル系は知らないけど、こいつは多分良い奴」と書かれていて。それは単純にうれしいですよね。

おもちゃで遊ぶ虎徹 提供:前田悟志

ライヴ中、猫ポーズをしているお客さんが見えた

煉:つい最近のライヴでの出来事なんですが、俺、ライヴのラストにちょっとしたドラムソロを叩くんです。そこで、ドラムをバーンってやったら、後ろの方で手を招き猫みたいな形にして猫ポーズをしているお客さんが見えたんですよ。普段はお客さんがどんなきっかけでバンドを知ったとか分かりようがないんですけど、そのときはさすがに虎徹効果を感じましたね。

前田:煉さんも「にゃー!」って対抗すれば良かったのに(笑)

煉:前回のインストアイベントでも「虎徹で知りました」と言ってきたお客さんは何人かいましたね。虎徹を飼うまで、本当に俺、人気なかったんですよ(笑)

前田:そうなの?

煉:こないだ、lynch.さんのライヴ会場にビラ配りに行った際も「あっ! 猫の人!」という反応とか、「握手してください」とか言われましたね。

前田:それ、Twitterで見かけた。「虎徹パパからチラシもらった」ってツイートを見て、煉さん何のバイトしてんだろ? 渋谷とかでティッシュ配ってんのかなと心配したんだけど、ライヴのチラシだと知って安心した(笑)

前田さんと煉さん 撮影:田中真由