子どもの成長にともない、気になり始める“身長の伸び”。親御さんのみならず、お子さん自身が、自分の身長に対して悩みを抱いていることもあるかもしれない。

子どもの身体的な成長には、遺伝の影響だけではなく、生活習慣などの環境が大きく関わっているという。身長を伸ばすためには、親として、どんなことを心がけるべきなのだろうか。

『身長は「9歳までの生活習慣」で決まる』(幻冬舎MC)の著者であり、身長の専門医として多くの患者さんの治療にあたっている飛田健治先生にお話を伺ってみた。

 

【飛田健治(とびた けんじ)】
とびた整形外科クリニック院長。1999年東京医科大学卒業。日本でも有数の外傷病院を遍歴し、整形外科医として数千例におよぶ骨延長・変形矯正や難治骨折の治療を行う。うち、東大病院では小児先天性骨系統疾患や低身長を来す小児疾患の診療を行い、小児科と整形外科、ふたつの領域を横断する医療を展開。現職では小児の身長相談や治療をはじめ、数少ない身長の専門医として、日本の医療の重責を担っている。

背を伸ばすカギは「骨」にあり

身長が伸びるということ、すなわち身長の高さには、“骨の伸び”が影響している。その鍵を握っているのが、骨の両端にある「骨端線(こったんせん)」(成長線)という軟骨部分。

「子どもの骨には、完成されていない“骨端線”という部分が残っています。そこにさまざまな栄養が入っていくことで、骨が伸びていくのです」

子どもの成長に欠かせない「成長ホルモン」は、骨の伸びにも大切な役割を果たしている。成長ホルモンから、「ソマトメジンC(IGF-1)」という成長因子が作られるのだ。

「“ソマトメジンC”が、骨端線の軟骨細胞に働きかけることで、細胞がどんどん分化し、成長を押し上げます。細胞が増えることで骨ができ、骨が伸びていくのです。骨端線は、あらゆる関節周りにあります。骨の真ん中が伸びるのではなく、必ず骨の“端”で伸びる。背を伸ばすには、この“骨端線”がもっとも重要です」

“骨端線(成長線)”はあらゆる関節周りにある

思春期が早いと、成長も早く止まってしまう

子どもが成長し、“骨端線”がなくなると、身長の伸びが止まる。

「女の子は、15才くらいで骨端線がなくなり、背が伸びなくなります。人によって違いはありますが、成長が止まる時期は、だいたい決まっています。人間は、0~4才の頃、年間10センチも身長が伸びる時期があり、その後はゆるやかに成長。そして思春期になるとぐっと背が伸びるのですが、この思春期がいつ来るかで、最終身長が決まってしまうと言われています。つまり、早く思春期がきてしまうと、早く成長が止まってしまうのです」

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