夏は、「学校がある時期にはできない継続的なこと」に挑戦できる絶好の機会。この時期をどう過ごすか、長い休みをどう有意義に使えばいいのか、親としては悩ましいところです。

おでかけ先を決めることや準備をすることに時間をかけがちですが、実は、子どもを伸ばすには、これらにアレコレと悩まなくてもよいのだとか。

今回、子どもの力を引き出す夏休みの過ごし方について、『4歳~9歳で生きる基礎力が決まる!花まる学習会式 1人でできる子の育て方』の著者であり、「花まる学習会」で野外体験部の部長を務める箕浦健治さんにお話を聞いてみました。

「今年は、どこに行こう?」は考えない!

――まず、夏休み、家族でのおでかけや旅行先はどういった所がよいでしょうか。

箕浦:場所は山でも川でも公園でもいいのですが、“毎年同じ場所に行く”ことをおススメしたいです。

たとえば、毎年川に行っているとします。5歳頃までは、1人では川に入れない。でも大きくなるにしたがって、川の中でも入れるところがどんどん増えていく。それによって、子ども自身が自分の成長を感じられるでしょう。さらに親としても「去年できなかったこんなことができるようになったなぁ」「前回来たとき、子どもの背はこの木のこの枝ぐらいまでしかなかったのになぁ」というように、子どもの成長を実感することができます。

それから、自然は毎年、様相が変わっていきます。川であれば雨の降り方や、その年の気候によって深さや流れ方も変わる。五感を育てるという意味でも、危険察知能力を高めるという意味でも、自然の変化を感じられる場所に行き、水や木、花などを見て、何が変わったのかを大人が言葉にして伝えてあげてほしいです。


――なるほど。でも、自然豊かな場所までなかなか足を運べない場合はどうすればいいでしょうか。

箕浦:それなら家の近所の公園でもいいですよ。定期的に同じルート、同じ場所に行くことが大切なんです。都内でも普通に歩けば、「紫陽花が咲いているからもうすぐ夏だね」「紅葉がきれいだよ、見てごらん」など、四季を感じて言葉で表現する機会が十分にあります。「上流で雨が降ったから川の水が濁っているね」「台風のあとだから、この木が倒れかかってきていてあぶないね」とその状況でアンテナを張っておくべき危険について伝えることもできます。

また近場であったとしても、子どもにとって、家族と毎年行った場所はとても思い出に残るんです。「あの出来事があったのは、○年前だよね」「○歳のときにはこんなこともあったの、覚えている?」と数年後には思い出話に花が咲くこともあるでしょう。

自分がやってもらってうれしかったことは、人にやってあげたいと思う。大人になって、自分の子どもにも同じように自然について語ったり危険察知について伝えてあげたりするかもしれない。そうやって繋がっていくことは、素敵なことだと、私は思います。

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