「ママが社会との壁を感じ、赤ちゃんと閉じこもりがちな状況についてどう思いますか?」

 

今:アンケートには10月25日の集計時点で121人が答えてくれて、ほとんど97%くらいが「どんどん外出した方がいいじゃん」「できるだけ外出した方がいいじゃん」と考えてくれているんですね。

でも「出た方がいい」とみんな思ってくれているんだけど“温度差”があります。回答に寄せられたコメントを見てみましょう。

今:コメントに「人それぞれが前提」ってありますけど、本当にこの“温度差”をどうとらえるか、ですね。

では「密室育児」を、いろいろな立場から、角度から、深掘りしてゆきましょう。

最初のゲストは、マンガ『宇宙兄弟』の小山宙哉さんも推薦する最新刊『星宙の飛行士』(宇宙飛行士・油井亀美也氏との共著)が11月5日に発売、宇宙ライターの林公代さん。

宇宙飛行士とママは似ている?「閉鎖環境で人の心と身体はどうなってしまうのか」

林公代さん(以下、林):こんにちは。宇宙関係の取材を20年以上やってます、ライターの林公代といいます。私自身も20年以上前に3人の子どもを2年間隔で育てました。

仕事柄、宇宙飛行士の方との関わりが深くて。宇宙飛行士というのは、結構特別な職業だと思われがちなんですけれども、実は宇宙飛行士とママさんって、共通点がすごく多いと私は感じているので、そのあたりを紹介できればと思っています。

国際宇宙ステーションは広大な宇宙に浮かぶ「閉鎖環境」

提供:NASA

林:今日はテーマが「閉鎖環境」、「密室育児とママ」ということだと思うんですけれども。

宇宙ってものすごく広大、と思われがちなんですが、実は宇宙飛行士が働く環境って、すごく閉鎖されている環境なんですね。

いま宇宙飛行士の職場っていうのが、国際宇宙ステーションというところで、地球の周りの高度400km、100kmを超えると宇宙と言われているんですが、水平距離にすると東京から名古屋くらいまでの、割と近い?ところにある、サッカー場くらいの大きさの場所で暮らしています。

林:人間が暮らすのは、この真ん中の部分なんですけれども、10LDKくらいの、ジャンボジェット機5台分くらいの広さがあります。

ここが「どんな閉鎖環境なのか」といえば・・・

隔離ストレスは絶大!宇宙飛行士談「自分が浦島太郎になった感覚を覚えた」

林:宇宙って空気がなくって、放射線が降り注いでいたりする、生身の身体では生きていけない、死の環境なんですね。そこに作ったのが国際宇宙ステーションということで、中に空気は満たしていて、シャツ姿で暮らすことはできるんですけれども。

そこに2000年から20年近く、宇宙飛行士が交代で暮らしています。

彼らが「どんなストレスにさらされるのか」ということなんですけれども、まず、地上から離れたところで半年くらい暮らさないといけない。つまり「隔離されている」という感覚がすごくあるんだそうです。

半年くらい宇宙に滞在した野口聡一さんが、地球に帰って来た時「自分が浦島太郎みたいになった感覚を覚えた」と言っているほどなんですね。

究極の職住接近!外出できず飲酒も禁止!生死のプレッシャーは24時間!

林:しかも国際宇宙ステーションというのは、3~6人くらいの宇宙飛行士が暮らすんですけれども、ずっと同じメンバーで、暮らすのもそこだし、仕事をするのも同じ場所。だから究極の職住接近、「もう疲れたから顔も見たくない!」という時があっても、毎日顔を合わせないといけない。

宇宙ですから、ストレス発散で外に出ていくことも、飲みに行くこともできない。そもそも飲酒は禁止なので、お酒も飲めない。

壁一枚隔てた空間は死の空間だから、24時間、心から解放される、ストレスから解放されることがない、っていう意味でものすごくストレスがあるんです。

でもそのストレスを適度に発散しないと、何かがあった時、事故があった時に、適切に対処できない。判断ミスが死に直結してしまうという意味でも、宇宙飛行士というのは非常なストレスにさらされているわけですね。