「公共の場での授乳」に反対、また受け入れに抵抗がある人たちは、なにも男性や不妊治療中の方に限りません。最近では多くの人が「何となくイヤ、気持ち悪い」と感じているとか。

その背景を出産報道ひと筋30年、ジャーナリストの河合蘭さんに聞きました。

どうして“フツー”の人たちまで嫌がるの?その理由とは?

――授乳を「何となくイヤ」「気持ち悪い」と感じる人が少なくないそうですね。最近、この論争が再燃するきっかけになった新聞への投書も、20代女性が「公共の場での授乳は目のやり場に困る」と訴えたものでした。

河合蘭さん(以下、河合):公共の場での授乳に抵抗感がある人たちは、私自身のこれまでの取材から考えても少なくないと感じます。

かつては誰も何とも思わなかったことなのに、今ではそうではなくなった。だから社会問題化してきた、ということなのでしょう。

それはなぜか、といえば「社会が子どもを嫌いになったから」というのではなく、おそらく「子どもが少なくなったから」、そのために「慣れ」が起きないんだと思います。

まず、弟や妹がいる人が減っています。物ごころついてから弟や妹が母乳を飲む様子を見ている人、それを記憶している人はかなり少ないはずです。

――少子化が進む中で、授乳シーンを「見慣れていない人が多いから」ということなんですね……やっぱり見慣れない人にとっては、キツいものでしょうか。

河合:そもそも「母乳を飲ませる」という行為は、本質的にはキスと同じように、性的な行為なんですね。

実際、母乳を飲ませ始めるとき、性的な快感があることに戸惑う女性は多いんですよ。

だから何の心の準備もない人が授乳風景に遭遇すると「飲んでる、飲んでね、かわいいねー」とはならず、なんとなく本能的に性的な面が感じられて「動物的」「ぎょっとする」といった反応になったり、「見たくないものを見せられている」といった感覚が起きる。

私が過去に取材した若い女性たちからも「子どもを産んだ友人を見ると、違う世界に行っちゃったみたいで」という声が聞かれました。

彼女たちはお友だちが結婚して出産して、例えばお祝いを持って訪ねてゆくと、いろいろビックリする光景に出くわすのですが、なかでも「授乳が一番ショックだった!」という方が何人もいました。

「ファッションがゆるくなったなーと思うと、ガバッと胸をはだけて子どもに乳首をくわえさせる」……これは衝撃ですよね。

だから男性のみならず女性も「何となくイヤ」「気持ち悪い」と感じることは、とりわけ現代の日本社会では、ごく自然なことなのではないでしょうか。

――言われてみればたしかに、子育てする側に周りへの気配りが追い付かない部分もあるかもしれません。ただママの立場からすると、特に産後は赤ちゃんのことで頭がいっぱいで……この溝を埋めることはできないのでしょうか。

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