杉本恭一8枚目のフル・アルバム『STEREO 8』リリース&アルバムをひっさげての「Tail Peace Tour2016」を目前に控え、大のレピッシュファンでもあるSKIP COWS・イマヤスが恭一に鋭くインタビュー! アルバムについてはもちろんのこと、上田現氏や過去の面白話もとびだして・・・!!

フォトギャラリー【写真をもっと見る】リラックスモードで語り尽くす!恭一&イマヤスフォトギャラリー

俺も現ちゃんも「宅録オタク」みたいなところがあったから

イマヤス:今回は名誉なお仕事をいただきまして、ありがとうございました。月並みなんですが『STEREO 8』素晴らしかったです。ソロの1stフルアルバム『ピクチャーミュージック』からもう20年になるんですね。

恭一:そう。だからレピッシュ以外で途中やっていたanalersとか入れると、どんだけ曲作ってんだって話だよね。

イマヤス:20年間でこれだけの曲を作って、ポテンシャル落ちず維持していける秘訣ってなんなんですかね。

恭一:曲を作るポテンシャルが落ちてきてる感はラッキーなのかまだないけど、要求はどんどんあがってくるから時間がかかるよね。なにをやるにも。

イマヤス:僕、アルバムの1曲目聴く時ってすごく楽しみなんですけど、今回インストでかましてきたじゃないすか。あーーーなるほど、こうくるのかーって。ニヤニヤしちゃって。

恭一:アハハハハ。同業者ならでは。歴史的にはずっこけな1曲目もあったんだよね。『magnetism』で『カナリア』って曲を1曲目にもってきた時は、あのイントロにみんなかなり腰がくだけたみたいだけどね。

イマヤス:今作を聴いて、あーまた前作を越えられてしまったって感じました。細部までこだわりがあるなっていうね。

恭一:できあがってすぐは、あー次どうしようって思うよ。たぶん、曲数が8曲でも10曲でも一回からっぽになっちゃう。だから1年ごとに作れる人ってすごいなって。それはできない(笑)

イマヤス:恭一さんのアルバム聴いて思うのは、レコーディング好きですよね! あの緻密さって本当に好きな人じゃないとできないなって。

恭一:ああ。その通りやね。普段のデモテープもエンジニアとミュージシャンが想像しやすいとこまで作り込んじゃう。

レピッシュの時からそうだったんだけど、普通バンドだったら集まってアレンジとかするのが多いと思うし、その方がいいこともあるんだろうけど、俺も現ちゃんも当時から宅録オタクみたいなところがあったから。ふたりともそっちの技術をあげることを含めてデモテープの仕上がりを競ってたところがあった(笑)そういうのが好きやからってのもあるんやろうけど、そういう作り方が染み付いちゃった。

歴史的にリズム隊に恵まれてるってことはあるなあ

イマヤス:今作の『STEREO 8』はまた新しい扉をあけちゃったなって思ったんですよね。インストから次の『電撃』のこのつなぎ! 何回も聴いちゃいましたもん。この意味のある秒数とか。すごく考えちゃいましたね。

恭一:今回は曲順がすごく先に出来てたから、何をやるにもその順番で考えることができて、曲間のイメージも出来てたから、マスタリングの時に曲間のつなぎを決めるのも一瞬だったよ。

イマヤス:全体の流れがよくできてますもんね。そして恭一さんの横ノリって、恭一さんでしかない横ノリなんすよね。恭一さんのロックンロールって横ノリでもあり縦ノリでもありっていう、独特なんですよね。

恭一:これはね、歴史的に組んできたドラマーとか・・・やっぱりレピッシュの時に染み付いてるもんがいっぱいあるよね。雪好だったり現ちゃんのちょっと変わったとこだったり。今でもリズムの話になると出てくる笑い話で、現ちゃん、どうやら食うとかシンコペ(シンコペーション)の感じがあんまわかってなかった気がする。

イマヤス:あんな天才が!!??

恭一:シンコペかかるとそこから数え直しちゃうようなところがあって、すごく複雑な変拍子の曲になっていったりとか。

イマヤス:逆に正統派なとこがわかってないからこその発想力ですよね。

恭一:それを面白いと思ってレピッシュやっちゃったとこがあるから。そういう変なのも染み付いてる。あとドラムの雪好がどんなものでも横に揺れてるビート感を持ってるやつだったから。

だから最初縦がよくわかんなかった。analersやるようになってから8(エイトビート)とか縦とかが自分の感覚の中でわかるようになってきて。その両方の財産はあるような気がするよね。歴史的にリズム隊に恵まれてるってことはあるなあ。

イマヤス:そして今回も僕の好物の、恭一さんのミディアムナンバーが何曲も入ってます。『Dusk』もそうですけど、絶対ベタな事は言いたくないんだけど、ベタな事を思う時もあるんですよね。そういう恭一さんの人間性をわかってるとすげー納得いくんですけど、その感情を一回消化してどう表現するかが聴く楽しみなんですよ。

恭一:アハハハ、マニアックだなあ。でも俺の曲を長く聴いてる人はそう思うかもねー。

イマヤス:恭一さんのロマンティックな一面が出るから、ミディアムナンバーがすごく好きなんですよね。どういう感じで作っていくんですか?

恭一:今回レコーディング中にアコースティックのツアーがあったから基本的に言葉とメロディ中心になって、その流れもあったのかな。『Dusk』『パレード』『屋上』は完全に書き下ろし。『Tour』は昔にあった曲を少し新しく作り直したんよ。

イマヤス:メロディと言葉が同時に浮かんだ時って、この曲はミディアムにしようとか、この曲はアッパーな感じにしようとか、その線引きっていうのはあるんですか?

恭一:まず同時に生まれたってのが無いんよ。世代的に洋楽のロックしか聴くものがなかったから、最初はやっぱり洋楽でできあがっちゃう。だからそれを日本語の音楽に変えていく時にすごく時間がかかる。ラララの数も変わってくるから、サビにはまるのを探したり。