撮影=稲澤朝博

研修生時代には辞めようと思った。アンジュルムへの加入は運命の巡り合わせ

――研修生時代には「Hello! Project研修生発表会2016~春の公開実力診断テスト~」(2016年5月5日)でベストパフォーマンス賞も獲得しましたが、当時を振り返る中では自分なりの苦労もありましたか?

笠原:研修生時代は出番が少なくて、先輩たちのバックダンサーに付いたこともなかったから自分を「落ちこぼれ」と思っていたんですね。でも、そのときに勇気付けられたのがアンジュルムの『ドンデンガエシ』でした。

研修生は先輩たちのリハーサルを見学する機会があるんですけど、たまたま初めてその曲を見たときに「このままでは終わらせない」「『変わってやる』と心で誓った」という歌詞に励まされたんです。だから、メンバーとなった今でも私にとって大切な一曲ですね。

――挫折しそうになった自分を救ってくれた曲を、今はそのメンバーとして歌っているというのも不思議な巡り合わせですね。実力診断テストもそういった意味では、大きな転換期だったのではないですか?

笠原:そうですね。自分にとっては2度目の参加で、気持ちとしては「今回で結果が出なかったら辞めよう」と考えていたんですね。当日の曲や衣装を研修生自身が選ぶんですけど、憧れていた亀井絵里さんが目立つモーニング娘。さんの曲『愛しく苦しいこの夜に』を選んだのも「この曲で終わろう」という思いがあったからです。

――強い決意を胸に、ステージに挑んでいたんですね。当日は現在もハロプロ研修生として活躍する清野桃々姫さんと同数票で栄冠に輝きましたが、当時を振り返るとどういった心境でしたか?

笠原:ステージ上で発表されたときは正直、聞き間違えかと思いました。自分なりに全力でパフォーマンスしたつもりだったけど、経験の長い先輩たちもたくさんいたのでまさか選ばれるとは思っていなかったんです。

頭の中が混乱しちゃって、驚きすぎて自然と涙が溢れていました。でも、その経験があったから自信が持てるようになったし、もっといえば、今の自分はきっといなかったんじゃないかなと思います。

――アンジュルムへの加入からまもなく1年を迎えますが、自分自身で何か成長や変化などを実感する部分はありますか?

笠原:グループとしてのバランスを考えて、パフォーマンスができるようになってきたかなと思います。研修生時代はみんながデビューを目指すライバルで、誰よりも大きな動きで目立とうとしていたんです。

今は当時と比べれば冷静に周りを見渡せるようにもなったかなと思うんですけど、ただ、楽しすぎると勢いが止まらなくなるときもあって。落ち着いてパフォーマンスするのはまだまだ自分自身にとっての課題です(笑)。

――裏を返せば、元気いっぱいな証拠だと思います(笑)。ちなみに、アンジュルムへの加入が発表された瞬間はどういった心境だったんですか?

笠原:ドッキリだと思いました(笑)。初めはネット番組のコーナー収録をすると聞かされていたんですよ。和田さんと一緒に出演することになって、収録がはじまってからしばらくはハロプロ研修生の一員として質問に答えていたんです。しばらく会話していたら和田さんがいきなり「アンジュルムの新メンバーになりました」と言われて。

撮影=稲澤朝博

――何の前ぶれもなく、いきなりですか?

笠原:はい、会話中に本当さりげなく! その瞬間に頭が真っ白になっちゃって。映像で残っているんですけど、何度も「嘘ですか?」「嘘ですよね?」と聞き返していました。頭の中がこんがらがっちゃって涙が止まらなかったんですけど、その後、和田さん以外のメンバーが急に入ってきて、ようやくちょっとずつ信じられるようになりました。でもじつは、両親はもっと前から知っていたみたいで……。

――あとあとになり、聞かされたんですね。

笠原:そうです。発表されたのが6月の半ば頃だったんですけど、その直前に行われた「アンジュルム コンサートツアー2016 春『九位一体』〜田村芽実卒業スペシャル〜」(2016530日)を見に行って、その時期は家でも毎日のようにアンジュルムの曲を聴きながら「入りたい」と思っていたんです。だから、お母さんは「この子もしかして気付いているのかな」と焦っていたみたいで(笑)。

――ひょっとすると“第六感”が働いていたのか、いずれにせよ今こうしてメンバーの一人になったというのは運命的なものを感じます。その後、2016年7月16日の「Hello!Project 2016 SUMMER」でお披露目となりましたが、準備はけっこう大変でしたか?

笠原:発表からお披露目までは3週間半くらいで、個人レッスンが始まり、振り付けやフォーメーションを覚えたりと駆け足で。アンジュルムは激しめの曲が多いから、初めのうちは追いつくのにとにかく必死でした。

――アンジュルムとしてのステージデビューは『大器晩成』から始まりましたが、当日はやはり緊張していましたか?

笠原:緊張というより、楽しい気持ちの方が強かったです。自分にとって一度しかないデビューの瞬間だから「失敗せずにやらなきゃ」と思っていました。また、これまでのハロプロの流れとはデビューの形が違かったんですよ。

これまでは自己紹介をして、次の公演でステージデビューをするという流れだったんですけど、私の場合はパフォーマンスが先だったんですね。ただ、今振り返ると最初に一気に覚えたおかげで、時間が経つにつれて余裕を持てるようになったかなとも思います。